この建築家夫妻の作品については何度かテレビの番組で見ており、
前著にも大いなる感銘を受けていたので、本書にも目を通した。
引き続き棲む(幼稚園やホテルであれば滞在する)人にとって
とにかく心地良さそうである、という一点は些かのブレも無い。
本書には「懐かしい未来」という僅か10ページ乍ら、
夫妻の建築に寄せる思い/想いが綴られている。
この文章がまた、素晴らしい。話がランダムに飛び、高度な内容ながら
夫妻の作品を見ている読者にはすーっと頭に入ってくる内容であると同時に
私は強烈なデジャ・ヴュに襲われた。というのも、夫妻の建築物から私は、
既にその文章に書かれたメッセージを受け取っていたからだ。
夫妻の建築物は外気にオープンな作品が多く(一見寒そうで)
優しい曲線があり、照明が足りてなさそうに見える。しかし
「人が選ぶのは温度ではなく、様々な要素を含んだ複雑な環境」
「(CADの利点を示した上で)問題は曲線が自由にできる
ということよりも、どのような曲線が欲しいかということ」
「大切なのはライトアップされる面ではなく、光の充満する
厚みのある空間」という主張を建築物から感じることが出来るのだ。
私見だが、現代日本の建築家の(作品においても、その哲学においても)
頂点に位置する二人なのでは無いだろうか。