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ただ、30代も後半になり、以前は漠然としていた現実――未来とはつまり死である――に怯えず向き合い、しかもさすがミヤジ、トゥ・マッチに血相変えて歌う。そんなこんなで泣き笑いの芸術に昇華されるという訳で。案外R&Rのスタイルに縛られがちなこのバンドが、宮本の閃きに力むことなくオルタナティヴな演奏で応えているのも聴きだ。(石角友香)
最近のエレカシに対する雰囲気がその時代のものと似てきているようで、少し心配しています。コアなファンの捉え方が大袈裟で、バンドの意図と遠ざかってしまっている感じがします。確かに歌詞はますます非凡だし、宮本の存在感がエキセントリックなので、そっちの方向に行き易いのでしょう。
今作はメロディーはキャッチー、歌詞はかなり洗練されて、特にバンドのグルーヴ感がこれまでになくビッタリはまっています(これが一番嬉しかった)。「ライフ」「DEAD OR ALIVE」「俺の道」でグッと来た人は、さらに大きな「グッと」感に出会えるでしょう!
非常に内省的な独白なのにこのポップ感は「さすが!」の1枚です。
CCCDも止めてくれて良かったです。
観念の上での「ロック」というものが、外部との摩擦や衝突をいとわず、それらをノイズや絶叫として跳ね飛ばしていく格好良さ、つまり向こう見ずな若さのことを指すのなら、この『扉』はあまり「ロック」とは呼べないだろう。
激しい音やシャウトもあるにはあるんだが、それはアルバムの中心に据えられてはいない。
控えめではあるが生々しいバンドサウンドにのせて、いい加減中年に差し掛かった“ロック屋”の迷いや煩悶が、ぽつぽつと歌われる。
人生とはなんぞや?男とはなんぞや?大人とはなんぞや?
陳腐に過ぎる自問自答かもしれないが、フラフラと浮き草な生活をしてる自分にとって、これはとても他人事とは思えない言葉だ。
そして、“悩んでいる”ポーズ自体をテーマにせず、“悩んだ先”に答えがあるのだと突き進む姿勢こそが、彼らが一つ大人になった証ではないだろうか。
その変化が、終曲「パワー・イン・ザ・ワールド」の明快さに現れていると思う。
「ロック」ではないかもしれないが、一足先におっさんになった連中の、おっさんなりの心意気がずしんと胸に響くアルバムだ。このままロッキンなおっさん道を貫いてほしい。
今作は紛れもなく、現在の宮本の心情を真正面から素直に表現した内容になっている。だが、それは決してネガティブなものではない。
だからこそ、我々同世代の胸をこれほどまでにも熱くしてれるのだろう。
参った。全ての楽曲の歌詞とメロディーが当分耳から離れそうもない。
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