シリーズの3冊目です。古代編のレビューでも書きましたが、このシリーズは兵種毎の特性を運用サイドの視点から解説していく「軍事書」であり「歴史書」ではありません。そのため、読者に歴史・軍事に関する一定の基礎知識を要求しますが、アカデミックに軍事問題に取り組むにはよい書物と考えます。
今回「近世編」で扱われているのは軍事ルネッサンスの時代から、フリードリヒ大王のプロイセン軍まで。主として騎兵と歩兵の相対的な地位の変化がよく理解できる記述となっていました。また、歴史的には影響が少ないことから日本では余り知られていない「ミンデンの戦い」などが、軍事的観点から詳述されている点などは「軍事書」としての面目躍如といったところ。ただ、絶対王制時代のロジスティクに関する分析は、クレフェルトの「補給戦」に拠る方がいいと思います。
研究に耐える良質な記録・資料がそもそも乏しいことが予想される中世を扱った前作はイマイチな印象でしたが、今回の「近世編」は「古代編」と同等の評価ができる良作と考えます。