リデルハートの戦略とは、誤解を恐れずに言えば、孫子の兵法「兵は詭道なり」の西洋版だ。本書では、政略のための軍事行動といった定義がなされており、その上位概念・大戦略は国家や国家連合の平和を求める活動である。
クラウゼヴィッツの生半可な理解による殲滅戦を直接的アプローチとして忌避しており、間接的アプローチを推奨する。
戦略と戦術の線引きは難しく、リデルハートは敢えてその区別を明確にはしていない。誤解を恐れずに書いてしまえば、戦術レベルの間接的アプローチとは、正面衝突を避け、翼側や旋回による後背からの攻撃を行うものである。
戦略レベルになると、実力以上のことはしない、目的を常に明確にする、しかし目標はいくつかあって必要に応じて切り替えるのが良い、敵が予想している方式や一度失敗した方式を取らないといったことに集約されている。
これらを実証するためにギリシャ時代の戦争から第2次世界大戦までで、間接的アプローチが有効に働いた事例をこれでもかと詰め込んで執筆したのが本書である。訳が多少古いので読みにくいが、本質を理解するのに原書に勝る物はないと信ずる。