本書は太平洋戦争研究会が編纂している。たとえば、木村兵太郎率いるビルマ方面軍司令部の唐突なラングーン放棄などについては載っていないし、全体的にそれほど深い内容ではない。しかし、太平洋戦争の重要なポイントについてはおおむね的確に包含して解説してある。硫黄島やガタルカナル島などは有名だが、本書はペリュリュー島の中川部隊の奮戦や、実はガタルカナル島以上の死者を出したブーゲンビル島の戦いなどにもしっかり焦点を当てている。風船爆弾作戦の詳細と意外な戦果についても載っているくらいだ。基本的に左側のページが写真とデータ、右側のページが解説という構成である。
当時の日本とアメリカは開戦当時でもGNP比で1対12以上の差があり、日本に輸入される石油の70%はアメリカから輸入していてくず鉄などもアメリカに依存していた。最後は科学技術と物量の差で圧倒されて、資源不足がそれに追い討ちをかけたわけで、敗戦という結果は戦略・戦術以前の問題だったといえる。いろいろな経緯があったとはいえ、そのような相手に当時の日本は戦争を挑んでしまったのである。本書は見開きページごとに焦点を絞り、問題点を具体的に列挙して解説している。簡潔な内容ながら良くまとまっており、太平洋戦争全体を見渡し、敗戦に至るポイントを整理する目的で読むには適当な一冊になっている。