著者は日本ではなじみが薄いが,一般には,マイケル・ポーター氏とならぶ,経営学の世界的権威の一人。戦略マネジメントを10のグループ(学派)に分類する中で,著者はどの学派に属するということではなく,戦略マネジメント全体を過去から現代に至るまで体系的にとらえ,かつ現代に通じるメッセージをさまざまな学派の中で展開する。
著者独特の言い回しが少なくなく,ハウツー本の体裁をとっていないが,網羅的に把握するには都合がよい。各章の最初に監訳者によるポイント解説があり,理解を助ける。 (ブックレビュー社)
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戦略論の数多くの論客の主張を的確に解説するのはもちろん、その上でミンツバーグとその同僚による独自の視点・論点を盛り込むという非常に高度な内容ですが、意外なほどすんなり読めます。
戦略論を学びたい方は、是非この本を読まれることをお勧めします。
なお、この本は、あくまでも大学・大学院で研究に利用する、学問としての戦略論研究であり、ハウツー的な要素は少ない(ほとんどない)ので、そこは留意してください。
また!、英語でクイン(Quinn)とミンツバーグの編著で、"Strategy Process"という教科書があるので、英語が得意な方は、そちらを最初に読む方がいいでしょう。こちらの方が初学者向けだと思います。
「戦略サファリ」には<学問としての戦略論>の体系が描かれています。しかも各流派の視点や功績と問題点が系統だって説明されているので、<経営戦略論の世界>を俯瞰すると共に、自分が支持する戦略論に欠けている点も知ることができます。
著者の一人H.ミンツバーグは、訳者が「学問としての経営学が未成熟な日本においては(中略)経営学、ことに戦略論というとポーターであると捉える傾向が非常に強い」と嘆く通り、日本ではあまり著名ではありません。著者がいかにマネジメント論の権威者(グル)であるかは、たとえば「マネジメントの先覚者」ダイヤモンド社/2000年/P200〜P210、「経営革命大全」日本経済新聞社/1999年/P199/ポーターの失墜、などを読んでください。
わたし自身、本書に触れたことで、自分の<経営戦略論の世界>観が狭かったことに驚くと共に、訳者が嘆く通り、日本の経営戦略論は偏向しているなぁ、と感じました。こうした良書をテキストにした講義があったらいいですね。
また、わたしが大好きなトム・ピーターズの言葉が、随所に登場するのも嬉しいです。
中小企業診断士や経営コンサルタントを目指す方、経営企画など実務を担っている方には、ぜひ読んで欲しい一冊です。(平易で読みやすいのですが、初学者には情報の質と量が多いのでお勧めできません。)
本書を手元に置いてから5年を超える月日が経ったが、新しい戦略論や経営技術を学ぶ際には傍らに置いていた。新しい戦略論やマネジメントの本を、興味がてら移ろいに読んでいくと、いずれにも、長所・短所があるのは違いないにしても、どれがどれだか判らなくなるときもある。ポジショニング、リソース・ベースド・ビュー、組織学習などなど。
本書が傍らにあると、戦略論の系譜のなかに各理論をプロットすることができ、各理論に没頭するのではなく、相対化しながら読み解くことができる。そんな有り難い一冊だ。
また、本書に埋め込まれた「囲み記事」は重要なヒントになることが多い。個人的には、本書132ページの「視点から捉える戦略的思考」は引用することが多い。「戦略的思考とは、上から、下から、後ろを、横を、前を、越して、全体を通して見ること」とある。全ての視点から見た理論などない。
ミンツバーグの著書らしく、フィロソフィカルな暗喩と分析的精緻さを持ちながらも、他の著作に比べれば難解ではない。
本書が出版されてから5年を振り返って、改めて良書だと思う。
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