通読して思ったのは「戦略とは、実践そのものである」ということでした。
戦略を考える上で軍事は不可欠という言葉にも大きく頷かされます。
実践である以上、机上の空論は厳に排除されねばなりません。
戦略家と、いわゆる学者の違いはこの点にあるのでしょう。
グレイ教授は疑いなく実践者です。
実践的な言葉がたくさん出てくるのがうれしいところです。
軍事や戦略なるものに正解はありません。
絶対的なるものもありません。
技術が全てを解決するわけではありませんし、政治がすべてを解決できるわけでもありません。
軍隊が全てを解決できるわけでもありませんし、経済がすべてを解決できるわけでもありません。
文化芸術が全てを解決できるわけでもありませんし、法律がすべてを解決できるわけでもありません。
国家が失敗しないことなど絶対になく、できるのは、失敗を極小に抑えることだけです。
すべては相対的で、一寸先は闇です。
生生流転の宿命を持つ分野だと思います。
だからこそ、少しでも軍事や戦略分野に見識を持つ、しっかりした人間が関係機関や国家の舵取りに関わり、失敗を極小化する保険をかけておく必要があるわけです。
なぜなら、絶対的なるものや正解なるものを高らかに掲げ、仕組みやテクノロジーを神聖視する勢力が権力を握ったとき、国家は最大の失敗を犯して大火傷を負うからです。これが歴史の教訓です。
そんなことを思いました。
ちなみに私の手元にある本は、ページの角を折ったり線を引く箇所が膨大となり、かなり汚れています。