失敗の事例をじっくりと研究したものほど勉強になるものはありませんが、この本では前作「失敗の本質-日本軍の組織論的研究」と異なり、成功への戦略が、「戦史にまなぶ逆転のリーダーシップ」として語られています。スターリングラードの戦い、バトルオブブリテンなどとならんで、とくに興味を引いたのは毛沢東のいわゆる「反包囲戦」の部分でした。1949年北京入城に先立つ1928年から、蒋介石国民党軍と山岳戦から長征を戦い抜いた過程をつぶさに分析し、その戦略を研究したものです。
毛沢東の戦略の本質的な部分は、硬直的な攻撃・防御の戦略ではなく、遊撃戦を基本にした機動的でダイナミクスの戦略であった点が大変丁寧に分析されています。 日本はシナリオを緻密に描き、そのシナリオで訓練をつみ成功をおさめるのが得意ですが、それとは対極の戦略の強みをみることができます。中国のかたがたはこの戦いを教科書としてよく学ばれている訳ですので、中国の方々とのお話のときには、知っておくと役だつことがあるかもしれません。