本書で若いころ著者が持っていた誤解として、「戦略」はかっこいい、「実行」はかっこ悪いというイメージの背景には、「戦略立案=クリエイティブな頭脳労働、トップのサポート」、「実行=手足を使った単純労働、誰でもできる仕事」というイメージを持っていたことが取り上げられています。今でも多くのビジネスパーソンはこの間違ったステレオタイプに囚われているのではないでしょうか。営業経験があっても、本社に入ったとたん本社様になって、あれこれ現場に指示を出すものの、その実行には一切関与せず、チェックだけする。自分の立てた戦略が失敗すれば、現場のせいにする人ってどこにでもいますよね。
皆さんも思い当たる部分が少なからずあると思いますが、高度成長で何をやっても成功する時代が過ぎた今、これでは確実に戦略は破綻します。本書では、戦略とは何か、戦略と実行の関係、戦略と実行を結びつける組織内のコミュニケーションにフォーカスして構成されています。
本書では「実行」は「戦略の後工程」ではない。実行は仮説を展開すると同時に、また戦略立案段階で明確にできなかったこと、予想できなかったこと、あるいは間違ったことをその実際の行動の中で知り、フィードバックを通じて「戦略を練り上げる」プロセスであると戦略との関係性を述べています。
戦略もそれ自体が仮説を元に立てられたものであるため、戦略実行の過程で、新たな発見や仮説の間違いがあれば、それを取り入れ、修正していかなければならない。つまり戦略を立てたマネージャー、部署はそれが実行されたかをモニターするだけでは不十分で、実行過程に関与していかなければならないということでしょう。多くのマネージャーや経営者は自分の戦略が実行されているかに重きを置き、柔軟に修正を加えるとことが弱いと思います。
その柔軟性を担保するのがコミュニケーションとなります。そしてそれを支えるのは組織における人間の「気持ち」となると述べられています。今まで無視されがちだった部分が成功のポイントなっており、本書では組織内コミュニケーションのあるべき姿を体系的にまとめてあります。
最近どうもうまくいかない、風通しが悪い、戦略を立案する側と実行する側がギクシャクしているという思いをお持ちの方には参考になる書籍であると思います。