劇場公開時、あまり上映館数が多くなかったこともあり見逃していた今作。
DVDで観て改めて劇場で観ておけば良かった!と思いました。
韓国の戦争映画のクオリティの高さは近年不動のものとなっていますが、
この「戦火の中へ」はその中でもかなりのレベルのものでしょう。
まず、この映画は現実にあった学徒兵達の死闘を映画化しています。
それだけでも驚きの題材でしょう。
学生服にアンパン帽、背負っているのはM1ライフル。
この姿だけでインパクトが凄いです。
北朝鮮軍に追い詰められ、そんな学徒兵に平然と
「この弾を向こうの陣地へ持っていけ!」
と命令する前線の兵士達の姿も鬼気迫るものがあります。
韓国の戦争映画はこうしたさりげない演出が、
状況を恐ろしくリアルに伝える特徴がありますね。
そして、本作で不思議だったのが、正直なところ、
古くさい日本の青春映画的なノリがあったりで、
つまらない中だるみを生みそうなところが、
それが気にならないある種の「勢い」があることです。
夜の学校の中で子供だけ。
気分は修学旅行。ついつい遊んでしまう悪ガキ共。
そしてそれを叱りつける委員長キャラ。
「おいおいつまんねえ事言ってんじゃねえよ」と不良少年が反発。
ベタベタなノリです。
ですが、そんなノリだった後に、
北朝鮮正規軍の斥候部隊との初めての交戦があるので緊張感がとてつもない。
さっきまでベタな青春映画の登場人物だった少年達が、
敵兵を相手に戦うことを余儀なくされている。
そのギャップの演出が実に良い。
しかも、少年兵達が死守を命じられた学校に迫る北朝鮮軍が本当に怖い。
日本の青春映画の名作「僕らの七日間戦争」とシチュエーションが似ている本作ですが、
こっちは高圧的な教師や警察どころか、本気で自分達を殺しに来るわけですから。
・・・・極めつけは、戦車は主人公側ではなく敵側が持っている始末。
クライマックス、タイトルの「戦火の中へ」の意味を知った時、
不覚にも泣きました。
「少年」が「男」になっていく、なるしかない状況。
それが戦争なのかもしれません。
本作の惜しむべきは、映画的な盛り上がりを重視する余り、
終盤少しばかり荒唐無稽な戦闘シーンが続いてしまうことです。
エンディングで流れる実際の学徒兵の生存者のインタビューが壮絶な分、
最後までリアル路線の戦闘シーンであって欲しかったですね。