戦後日本は、足掛け7年に渡る占領軍(GHQ)の統治により、いわゆる“戦後改革”を受け入れさせられた。占領初期にはこの動きは顕著であり、日本国憲法はその成果である。それを主導したのはGS(民生局;直訳すれば統治局)であり、江藤淳の明らかにした「閉された言語空間」のなかで、都合の悪い図書を焚書し(西尾幹二「GHQ焚書図書開封参照)、GHQ作成の歴史観に基づく「太平洋戦争史」史観を押し付けて東京裁判を行った。
本書は、近年になって公開された資料に基づいて戦後、CIAの前身となったOSS(戦略情報局)の「日本計画」が戦後日本を方向づけたことを明らかにする。そしてそれが隠れマルクキストであるフランクフルト学派による二段階革命理論によることを示す。
ルーズベルト政権傘下のニューディラーが戦前・戦後を通じて対日政策の中枢となり、なかにはコミンテルンと通じていたことが今では明らかになっているが、それとは別に隠れマルキストが戦後日本の姿を大きく規定したことになる。戦後66年の現在もその呪縛が解けず、むしろその究極の姿を示しているのかもしれない。
こうしてみるとGHQ総司令官マッカーサーはOSSに操られていたことになり、"戦後改革”における存在感が小さいものになる。また、ルーズベルトのニューデイール政策はケインズ理論を実行したとされるが、ケインズにない労働政策がある点で社会主義に近いという指摘は新鮮である。