出版社/著者からの内容紹介
【占領時代の始まり】
1945年8月15日。日本にとって無条件降伏の日であり、大日本帝国の植民地で
あった台湾、朝鮮、満洲などの地域のひとびとにとっては解放の日であり、アメ
リカを始めとする連合軍にとっては勝利の日であった。
この敗戦の日以後、日本はいまだかつてない歴史を体験することになった。連
合軍による占領時代の始まりである。
もちろん、戦時中を大日本帝国の陸海軍による日本の占領であったと言えない
ことはない。しかし、兵士は帝国臣民たちから徴兵され、陸海軍総司令部は日本
人将校たちによって構成されていた。
【情報の鎖国から】
しかし、その大日本帝国は崩壊し、その国境は大幅にぬりかえられたのであ
る。死の恐怖は去ったものの、「内地」に復員兵や引揚げ者があふれ、貧困と飢
餓、絶望と憤怒がうずまいた。
同時にひとびとはそれまでの情報の鎖国から解き放たれた。戦時下とはまた異
なるかたちで占領軍による情報統制、検閲があったにもかかわらず、ひとびとは
粗末な紙に印刷された出版物に殺到した。そのような状況下でも多彩な花が咲い
たのである。
政治的には、占領軍と日本政府の虚々実々の協働作業によって、現在にいたる
この国のかたちが決まったのも、この戦後占領期である。
【何をとらえ、何をとらえそこねたか】
敗戦から1952年にいたるこの未曾有の時期に、文学にたずさわるものたちは何
を描き、何を見ていたか。何をとらえ、何をとらえそこねたのだろうか。
小説はその時代に生きたひとびとの言葉と緊密な関係を結んでいる。
きびしい制約のなかで書かれた短篇小説を通して戦後占領期をあらためて検証
し、いまの私たちを問い返すため、「戦後占領期短篇小説コレクション」全7巻
を企画した。
(紅野 謙介・こうの
けんすけ/日本大学教授)
内容(「BOOK」データベースより)
レビュー
本全集の特徴
■1945年から1952年までの被占領期を1年ごとに区切り、編年的に構成した。但
し、1945年は実質5ヶ月ほどであるため、1946年と合わせて1冊とした。
■編集にあたっては短篇小説に限定し、1作家1作品の原則で選択した。
■収録した小説の底本は、作家ごとの全集がある場合は出来うる限り全集版に拠
り、全集未収録の場合は初出紙誌等に拠った。
■収録した小説の本文が旧漢字・旧仮名遣いである場合も、新漢字・新仮名遣い
に統一した。
■各巻の巻末には、解説・解題とともに、その年の主要な文学作品、文学的・社
会的事象の表を掲げた。