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37 人中、37人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
豊富な図版と共にエロマンガの50年を振り返る奇書,
By 恋猫 - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 戦後エロマンガ史 (単行本(ソフトカバー))
「非実在青少年」の規制問題などで揺れる「エロマンガ」界。興味を持たない人にとっては、単なるいかがわしい存在なだけかもしれない 「エロマンガ」だが、実は多様で奥深い歴史がある。 これまでほとんど語られることのなかったその軌跡が、マンガ、サブカルに 対して博識で知られる評論家・米沢嘉博によって、雑誌「アックス」に 長期連載されたものを一冊にまとめたもの。 戦後のカストリ雑誌に始まり、貸本、青年劇画誌を経て、90年代の 美少女コミック誌に至るまでの約50年間の「エロマンガ」の通史を、 約2500点にものぼる図版と共に振り返っている。 惜しむらくは、米沢が、本作を連載中に、あと残り数回の連載を残して 急逝してしまったこと。そのため、「未完」で終わっているのだが、 それでも米沢の愛した「エロマンガ」の魅力、そして、米沢が本作を通して 伝えようとしていたメッセージは十分伝わってくる。 まさに、米沢嘉博にしか書き得なかった一つの「文化史」の記録である。 こう書くと、とても堅苦しい内容の本なのではないかと思われがちだが、 具体的な作品を通してわかりやすく書かれており、見ているだけで楽しい 豊富な図版とともに読み応え十分。 近年復刊された米沢の旧著「戦後少女マンガ史」「戦後SFマンガ史」 「戦後ギャグマンガ史」と並んで、マンガの研究書として必読の一冊。
7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
「奇書」にして「学術書」,
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レビュー対象商品: 戦後エロマンガ史 (単行本(ソフトカバー))
06年10月に急逝したマンガ評論家米沢嘉博が、掲載誌の休載等による三度の連載中断を経て「アックス(青林工藝舎)」にて7年近く連載した「戦後エロマンガ史」をまとめた作品。残り数回の連載で完結の予定だったようだが、残念ながら著者急逝により未完となった。終戦直後のカストリ雑誌の時代から、貸本、エロ劇画、ロリコンマンガ、レディスコミック、美少女コミック、そして90年に勃発した「有害コミック問題」に至る約50年間のエロマンガの歴史を年代別に(まじめに)解説した作品。 その時代におけるエロマンガの位置付け、各マンガ誌の特徴、エロマンガの分析(絵の分析etc)を図版(雑誌の表紙や掲載作)とともに解説していくのだが、約300頁の半分を占めるこの図版が圧巻。眺めているだけで楽しくて仕方がない。 いったいどうやって蒐集したのだろうか。 ほとんどが読み捨てられてしまったであろうエロ雑誌を蒐集するという行為に、なにか遺跡発掘に似たものを感じてしまう。 「奇書」にして「学術書」。 そのくらい、きっちりと体系立てられた考察が展開されている。 一ケ月くらいかけて読んだが、本当に読み応えがあった。 江戸時代の春本だって現在は江戸文化の対象として大っぴらに語られている。もしかしたら、エロマンガが将来、現代文化の対象として語られる日が来るかもしれない。そんなときに、まず教科書(参考書?)として使われるのがこの作品であるのは間違いない・・・ような気がする。
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
「底辺」から見た戦後文化史,
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レビュー対象商品: 戦後エロマンガ史 (単行本(ソフトカバー))
タイトルの通り、戦後のカストリ本時代から、90年代初頭までの、エロ漫画について、雑誌の創刊、方向性の変遷、表現の変化といったものを綴った書。白黒ではあるが、多くの写真資料とともに、数々の雑誌、漫画が紹介されており、極めて資料的価値の高い一冊になっていると思う。 本書を読んでいて感じるのは、戦後の文化の変遷というところ。 現在でも、文学などと比べて低く見られる「漫画」。その中でも「底辺」と呼ばれるエロ漫画。しかし、その流行の変化や、参加している人々を見ると、社会の変化を大きく感じることができる。 恐らく、読む人によって、発見できるものが異なると思うのだが、私が注目したのは60年代〜70年代にかけての「劇画ブーム」の原作・原案者たち。 この時代、「読み捨てられる」ことを前提に、安く作られていた、このような雑誌に森村誠一、大藪春彦、山田風太郎、半村良などと言った、作家達が名を連ねている。無論、原作などと言っても、そこまで深く参加したわけではないだろうが、底辺からも空気を作ったことが現在、小説の世界で大きな存在となった彼らを作り上げたのではないか? という風に思えてならなかった。 小説は高級で、漫画は低俗。 こういった考えが、以下に偏狭なものであるか、という風に感じる。 著者の逝去により、未完で終わったことが何よりも惜しい。 それでも、「底辺からみた戦後文化史」として一読の価値がある書だと思う。
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