このシリーズを読んで、築地俊彦という作家の見方が180度転換された。
これまで築地俊彦といえば、私の中では「テンプレートなキャラクターを量産する典型的な金儲け作家」という、あまりにも失礼なものだった。
しかし、本作を読んで、その印象が間違っていたことを思い知らされる。
本作の設定、キャラの配置などは、テンプレートの域を出ない。
しかし、その設定の中で、キャラクターたちはテンプレートの枠を逸脱していく。
要するに、キャラの言動が独特なのだ。
彼らはそれぞれ考えて行動する。生き残るために成長しようと、必死で考える。
その象徴は主人公だ。
彼は一人だけ実力が不足する中、どうすればみんなの役に立つのかと必死で考える。
彼の仲間たちも、彼を助けようと、それぞれの立場からサポートしようと、考える。
その思考の過程が、物語となっている。
そこに軽薄なギャグや恋愛は無い。
あるのは、血の通った少年少女の剥き出しのやり取りだ。
青春が血を流している。
戦闘描写が淡白になるのは、ある意味仕方が無い。
物語の本質はそこにない。
少年少女が、お互いの距離やあり方に「悩む」ことが、この作品の本質だ。
築地氏特有の淡々とした台詞回しと描写がまたいい。
他の作品では「手抜きか?」と思えてしまう文章スタイルも
本作では文学作品めいた香りすら漂ってくる。
氏が最も書きたかった作品はこれなのではと、勝手に思っている。
いつまでも彼らのやり取りを見ていたいと思わせるこの作品に出会えて幸せだった。