原題の「BIG BOY RULES」とは、強いものは何をしても良い、ということ。その強者の論理に従い、民間警備会社の「ブラックウォーター」は好き勝手し放題で、アメリカを支持するイラク政府からも非難される事態となる。こうした状況のくわしい内容は、新聞では分からい。しかし、そうした側面が良く分かる。また、民間警備会社を告発する人々に対するアメリカ政府機関の対応というものも、臨場感を持って感じることが出来る。最近、オバマ政権になった後、さすがにイラクからはブラックウォーターは追放されたが、アフガニスタンで似たようなことをしているらしい。
「事件」が起きたとき新聞に記事が載るが、戦争状況下での日々の様子はなかなか載ることはない。そうした意味で本書に書かれている内容は、イラクにおける軍事活動の一つの実態を知る上で重要だと思える。また、アメリカへの反感が、宗教的な問題はもちろんあるだろうが、日々の活動の積み重ねの中からも生まれていることがよく分かる。
本書は著者の体験を綴ったという側面が強く、民間軍事会社の詳しいデータ的な情報を知りたいという人には物足りないかも知れない。しかし著者が親しくなった民間軍事会社に勤める(会社だから「勤める」だと思うが違和感があるなあ)魅力的な若者の運命が描かれ、その運命を知るために、最後まで小説を読むが如くに読み進めることが出来る。(訳文がこなれているとは言い難い部分もあり、読みにくいところもある)
2009年の現在においても、この本質的状況はほとんど変わっていない。こうした現状を知った上で、日本の石油依存のありかたや、国際貢献の議論がなされなければならないと感じさせられた一書である。