こちらの他のかたのレヴューは軒並み高評価のようで、一般的にも人気の高い作品ですが、私はこれらの評価には懐疑的です。
イギリス人のプライドの高さが表れた傲慢な作品で、同時に、白人の有色人種(日本人)に対する偏見がよく表れた作品である、というのが率直な感想です。
(以下ネタバレ有ります)
この作品は第二次大戦中のタイでの日本軍によるクウェー川鉄橋建設を題材にしています。つまり史実に基づいた作品という事です。ですが実際はほとんど史実には即していません。日本人の大佐が橋建設を計画するがそれが大変稚拙なものであり、それを捕虜になったイギリス人たちが優れた指揮の下、統率の取れた行動で、日本人よりも計画的に橋の建設をやってのける、というのが物語の大筋。日本軍および日本人を愚劣に描写し徹底的に見下した内容です。
実際は、橋は白人捕虜によって作られたなどというのはまったくの虚構であり、日本軍の鉄道連隊が設計し現地人の協力を得て敷設したのです。
当時、建設に携わっていた森本平太郎軍曹も次のように語っています。
「あの橋は白人俘虜の頭脳で作られたなんてとんでもない嘘で私達(鉄道連隊)が設計し現地人の協力を得て敷設したものなんです。重労働で白人がバタバタ倒れたと日本軍を非難してますが、ハーグ条約に違反した訳でありません。日本人と同じものを食べておりました。現地人や日本の兵隊はパンと野菜スープだけの毎日でもちゃんと働いてましたよ、捕虜からは色々と注文が出て、我々と違って連中のスープには肉片もいれてあげたんですよ、元々白人は余りにも体力がないんです、皮膚はすぐに真っ赤になってしまうし。捕虜や現地人は三交替ですが日本兵は徹夜でした。」
史実を基にした作品をつくるからには、多少の脚色はあるにしても、その史実に対する尊敬の念を持ち、事実を捻じ曲げるような事をしてはならない。「映画なのだし、面白ければいい」ではいけないのです。実際、史実を捻じ曲げたことによってストーリー上に幾つかの決定的な矛盾点が生まれ、到底「面白い」作品とは言い難いです。ロマンス描写も薄ら寒い。
イギリスのイギリス人によるイギリス人のためのやりたい放題な自己満足映画です。「アラビアのロレンス」でも感じましたが、イギリス人の自尊心の高さには脱帽です。
この嘘ばかりの作品を観て、日本人として悔しさを感じず、欧米人と一緒になって「アカデミー賞受賞作品は凄い」「面白かった」といえてしまうのは恥ずかしいことではないのでしょうか。