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戦国鬼譚 惨
 
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戦国鬼譚 惨 [単行本]

伊東 潤
5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容説明

生き抜くためのだまし合いに勝つのは誰か?武田家は信玄の死後、混乱を極めた。その覇権争いの中で一頭地を抜くことになったのは誰か? 生き抜くために駆け引きを駆使する武将達の進退を描く戦国小説集。

内容(「BOOK」データベースより)

だまし合いには勝たねばならぬ!生き抜くため、守るため、心に巣くう鬼は殺し、裏の顔は見せるまい。衝撃作『戦国奇譚 首』の作者が、信玄以後の甲信の武将たちの進退を描く。

登録情報

  • 単行本: 266ページ
  • 出版社: 講談社 (2010/5/21)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4062162474
  • ISBN-13: 978-4062162470
  • 発売日: 2010/5/21
  • 商品の寸法: 19.2 x 13 x 2.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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形式:単行本
武田家に関して,いくつかのそしてそれぞれの立場や視点からその滅亡の背景となるものが書かれています。教科書等では一義的にしか書かれていないことが複眼的に示され,その理解が深まったように思いました。一つの出来事も,どの角度から見つめるかでその捉え方も変わり,改めて人間の業や想いというものこそが歴史となることに感じ入りました。読んでよかったと思います。
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8 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 大阪
形式:単行本
 「武田家滅亡」の外伝的要素の濃い短編集。
 1)木曾義昌の弟、木曾義豊を主人公にした「木曾谷の証人」は、家族愛が胸を打つ。木曾谷の領民と家族を守るために、義豊が懸命に生きる姿が印象的だった。
 2)下条頼安の登場する「要らぬ駒」は、城郭での戦闘シーンがあって楽しみの一つになっている。作者が何度もこの城跡を訪ねたり、実際の合戦祭りに参加するなどの努力の結晶が詰まった一品になっている。臨場感溢れる合戦シーンには手に汗握る思いだった。自分自身が望まないままで当主にならざる終えなかった頼安が、それでも何とか当主として立派になろうとしているところなどが印象的だった。後半の、どんでんどんでん返しが見事な作品だった。思わず、そう来たか! と膝を叩いた。
 3)武田信玄の弟、武田逍遥軒信廉の「画龍点睛」では、彼ら兄弟の父親信虎と長坂釣閑斎光堅との駆け引きは面白かった。些細な理由から、武田家の滅亡が始まったのだと感じた。
 4)「温もりいまだ冷めやらず」は異色な感じがしたが、こういう視点もあったかと思った。友情とも愛情ともつかぬ感情の中で、盛信と源三郎が最後までお互いを信じたところが感動的だった。それさえも信長が利用したところが、恐ろしいような気持ちになった。
 5)利巧というのが本当に危機の時に、命を縮めることもあるのだということを感じた。穴山梅雪信君主人公の「表裏者」。家康が相手では少々利巧なだけでは太刀打ちできない。上には上がいるものだ。右往左往する信君が哀れにさえ感じる作品だった。
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16 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
本作品は「戦国奇譚 首」に続く短編集であると同時に、大作「武田家滅亡」のスピンアウト集という側面も持っている。一本一本は独立した作品であり、それぞれを別個の短編として味わうこともできるが、作者の得意な「多視点同時進行形式」を生かした壮大な連作として捉えることもできる。そして作者が描くものはありきたりな英雄譚や伝記ものでは決してなく、無論「義」だの「愛」だのを振り回す独善的な感動ドラマでもない。「生き残り」のためにありとあらゆる手を尽くして、騙し合い裏切り裏切られ、抗いきれぬ運命に弄ばれてゆく人間の懊悩という本質そのものである。
本作では作者の持つ重厚かつ、めくるめくような怒涛の展開に加え、素材の選び方に作者のセンスと狙いがよく現われている。
木曽義昌、下條頼安、武田逍遙軒、仁科盛信、穴山梅雪。彼らは武田家の滅亡に際して一定の役割を果たした人物たちであるが、決して主役を張れる一線級の役者ではない。しかし、あえて彼らに光を当てることにより、くっきりとした「影」として浮かび上がってくるのは、武田家滅亡に至るストーリーそのものである。そして作者はその「影」によってみごとに武田家三代をも描ききっているのである。
作者の恣意的とも取れる極端な人物設定もまた単なる作者の思い込みや思い入れではなく、精緻なストーリー展開上の必然である。それらは「実際にこういう事もあったであろう」「こういう人物像であり得たであろう」というリアリティを感じるだけの説得力がある。その説得力を支えているのは作者の徹底した実証主義である。彼が表現する人物や風景は、実地を歩き、彼らの城跡に立ち、史料を精読した者でないと表現できない本物の質感を持っている。それが単なる史実の羅列や知識・経験のひけらかしにならないのは史料や文献に顕れない部分を補う想像力・推察力・構成力によるものである。そしてそれこそが伊東潤の持つ最大の魅力である。
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