西国偏重史観が常識となっているる世の中に一石を投じる研究書。
副題に「北条の夢」とある通り、関八州独立国家を目指した小田原北条家が独自のビジョンを掲げ、早雲以来の統一事業を成し遂げんとするその最終過程を描ききっている。
従来、各地の市史や町史を通じて断片的にしか捉えられなかった過程を、独自の解釈を交えつつ、大きなスケールでまとめている。
むろん、これまでにないテーマであり、戦国史ファンも刮目する事実が次々と突きつけられる。確かに題材は上級者仕様だが、古文書も現代文に読み下しているため読み易く、何よりも、そのスリリングな展開は凡百の歴史小説を遥かに凌駕している。
戦国時代は信長や秀吉だけのものではなかった。東国には東国の覇権構想があった。その最終段階が小田原合戦であり、そこで敗者となったがゆえに、「北条の夢」は永遠に封印されるかに見えた。その封印を解いたのが本書である。
これを読まずして戦国時代は語れない。