武将の実在の有無や性格,戦いの実相など多岐にわたって,戦国時代の実像を紹介してくれている本である。扱うテーマが多すぎて,一行知識のような感じになっているのが残念であるが,個別の論証は他の本で調べるとして,実像は通説とは相当違うということがよく分かる本であった。
例えば,山中鹿介(鹿之介)は,尼子家再興のために戦った忠臣とされている。
しかし,尼子義久兄弟は,富田開城後,安芸で安穏に過ごしており,尼子家の家名が絶えたというわけではない。鹿介が担ぎ出した尼子勝久は,晴久(義久の父)に粛正された誠久の子であり,尼子宗家からすると反逆者の子に過ぎない。
その後,播磨上月城落城時,勝久は切腹したが,鹿介は毛利家から知行を与えられるという約束で,主人を見捨てて降伏した(その後,毛利輝元の元に送られる途中,殺された)。
どう見ても尼子家のためになっているとは思えないのだが,それが戦国時代の実像というものであろう。