さみだれが完結した水上先生の現在唯一の連載作品。いよいよ佳境に入り、断怪衆総本山との対決です。
作中最強の龍の男・神雲をああするとは……上手いなぁ、やっぱり。
少し俯瞰してみると、本作は人間と闇(かたわら)という二つの相容れないっぽい種族の対立を含めた相関関係が大きなテーマ軸です。野生動物の行動原理に近い闇と、創意工夫と業の深さ故に闇よりも残忍な行為へと邁進する人間たち。
今巻でも本来闇寄りであった迅火は、人間や人間と闇との中間の者との出会いを深めることにより人の善性というものに目覚めていってるようです。そしてそれと対をなすように人間の善人代表のような真介は復讐の業を抱えて人間の暗い部分へと進んでいきます。その対比は、人間が野生動物から脱皮した時に得た善性と残忍さ(野生動物に残忍という概念はありません)双方を現しています。冷静に見てもっとも残忍で残酷な行為をなしている断怪衆とて、彼らは同族である人間を守るためにああした行為に至ってるのであって、内面に抱えたものは簡単に善悪で片付けられるようなものではないのです(そのあたり野禅や四獣将などの人物の描き方がすばらしい)。
そして山の神。西洋の、人間によって作り上げられた神とは違って対価を求めます。「踊り食い」です。そらそうです、神様が人間の都合のいい存在である理由がない。自然を神と例えたアニミズム的な方向こそ、この作品世界にぴたり合ってます。
とまぁ、一見シンプルな作品であるけれど分析しだすと「すげーネーム時間かかってるだろうなぁ」と感慨したり。水上作品はみんなそうですけど。
うらうら書きましたけど単純にバトル漫画としてもすごい面白いです。工夫もいっぱい。たまが血をわけた時のえっちぃシーンもあるしね。