宮城谷さんは古代中国を描かせればもはや古今東西最高の文学者でしょう。これまで“主役たち”を描いた素晴しい長編の数々をよませていただきましたが、これは秦の始皇帝による統一直前の、約2世紀半にわたるいわゆる中国戦国時代に特化して、“名脇役たち”16人の生きざまを描いた濃厚なオムニバス。
といってもおおむね年代順。あの「臥薪嘗胆」の舞台となった呉越戦争の世界。「孫子の兵法」の孫子の末裔で、他国の将となったライバルに欺かれて両足を切断されながらものちに斉の軍師としてリベンジする“孫ぴん”の活躍。あの諸葛孔明が憧れた名臣にして名将、“楽毅”(このひとは主役クラスだが)の雄姿。。。いずれも志の高さ、魂の崇高さ、人間としての迫力に自分のような凡人は圧倒されるばかり。。。日本の政治家でこういったクラスの人物がでてくると本当にありがたいとおもうのですが。。。
やがて秦の無敵将軍“白起”の登場からはじまるラスト4章。膨張を続ける秦によって、由緒も歴史もある名門の国々が次々に滅ばされてゆくありさまを描く貴重な読み物になっている。これまでここの部分をよく知らなかったので、この本を買ってよかったと思った。16人の人物伝とともに、戦国時代から秦の天下統一までの流れをおもしろく読みながら理解できる点でも、すぐれた一冊にとしてまとまっているとおもいます。