歴史ファンでなくても「真田十勇士」が実在の人物たちではないことくらいはわりと知っているのではないでしょうか? しかし、どこまでが史実で、どこからがフィクションかをきちんと調べていくのは意外と骨が折れるものです。本書は戦国史の有名人たちの虚と実、嘘とマコトを遠慮会釈無く丸裸にしていく良作です。新書一冊で聞いたことのある有名人は総ざらいなので、非常にお得感がありました。また、題材もどこかで聞いたことがある人たちばかりなので、酒の席での話のタネにももってこいかもしれません。
ただ、一応半熟歴史ファンを自認する私としては、ぜんぜん聞いたことの無い人たちが登場することの方がうれしかったです。例を挙げてみましょう。
例えば、剣豪として有名な宮本武蔵や上泉信綱が実際の戦場でどのくらい活躍したかを見ていくと、残っている記録を見る限りろくに活躍していないことがわかってきます(特に武蔵)。ところが歴史上無名の「某左太夫」という剣術使いは、大阪の陣で都合4人を次々と斬り倒し、大名の松平忠昌まで負傷させて、もうすこしで討ち取るところだったというのです。たった4人というなかれ。当時の記録を見るとほとんどが鉄砲か槍による傷で、刀は首取りか介錯用にしか使われていなかったことを思うといかにすごいかがわかるというものです。
また、個人的に強く惹かれたのは後南朝の人たちです。それぞれに理由はあったのでしょうが、勝ち目の無い側に忠義を尽くして歴史の闇に消えていった人たちにリリックなものを感じてしまいます。後南朝に関しても、信長に滅ぼされた伊勢(三重県)の北畠氏は南朝と関わりが深かったなど、意外な発見がありました。
お奨めの一冊です。