評価するのが難しい作品なので困ってしまう。
歴史ものの描き方を無理矢理二極化するなら、一方の極に「センゴク」に代表されるような史料を精査して史実を探って物語化していく方向性。その対極に史実を覆してしまって登場人物を駒として使うタイプの作品。後者は一時期「超○○」とか「反○○」といった小説やコミックが流行った。たとえば「信長が本能寺で死んでいなかったら」「関ヶ原で西軍が勝っていたら」というような大胆な仮定による自由なパラレルワールドの構築という手法。
どちらもそれぞれの面白さがある。
さて、勝手に二極化しておいて、こう問うのも論理的飛躍になってしまうが、この「戦国八咫烏」はどちらのタイプの作品なのだろう。
南蛮軍vs織田上杉連合軍という着想は明らかに後者なのだが、この巻フロイスが黒幕という設定を除くと意外に史実に寄って来たように見える。今回、信長の朝倉攻め。展開も史実寄りだ。
主人公の雑賀孫一自体、謎の多い人物で史料が少ないから様々な遊びができるのは良いとして、作品全体としてどっちに向かって行きたいのか今ひとつ読み切れない。
真の敵「南蛮」と対抗するために孫一が奔走して日本国内をまとめあげたいということか。ならば孫一は龍馬だ。
という訳で史実に忠実でもないし、史実も無視しないこの作品は評価が難しい。
佐渡での戦と比べると小粒になったかなと思うので、星四つにしておくが、今後の展開次第で評価が大きく変動する可能性が高い先の読めない作品だ。