歴史を学ぶ価値は何か?選択に臨んで出処進退を誤らぬためか、あるいは未来を託する者たちへの教訓の糧とするためか、単に一人ひとりの経験の乏しさを史料で補うためか。斯くあるべしとの自分が判らぬために、事象の結果から人間らしく生きるための法則や処世術を見出そうとするものではないのか?
『戦史の名言』は、古代ギリシア、古代ローマ、古代中国の歴史上の英雄の名言、偉人の箴言から、近現代の将帥や政治家が残した片言隻語までを七つの章に分類収録した<戦争の歴史>のダイジェスト版である。PHP文庫という性質から、「戦いに学ぶ処世訓」の副題どおりビジネス・マネジメントに資することを目的として編集されている。
将帥や軍師が如何に勝利を決定づける決断を下し得たのか、NHK深夜番組「名将の采配」での合戦検証を視るまでもなく、葛藤や逡巡の人間臭さを抑えつつ、冷静沈着に戦況を読み、事前の手配りを怠らず、時には芝居がかった人心掌握術で兵士を鼓舞し、最後は乾坤一擲の賭けに出る勇気と勝負勘の必要にも気付かされる。
言い訳しない信念の人が将帥であり、だからこそ兵卒が信頼して付いてゆく。天賦の才ある英雄ならば勿論のこと、戦場をビジネス現場に置き換えれば、リーダーたる者の有り様が自ずと定義されて来る。判断を誤ることの最悪から逃れるために、災厄をもたらす戦争を教材にして、今日も明日も人間は歴史を学ばずにはおれない。