今の世間を見回すと既視感にとらわれる。
いつの風景だったなのか。
それは大正末期から太平洋戦争開戦前までの日本だ。今の姿と瓜二つに見える。
筆者は3点を指摘する。
1にアメリカ化、2に格差社会、3に大衆民主主義である。
3つのキーワードに収斂される種々の現象を点綴していく。
デパート、アパート、映画、モガ・モボの出現、家の光やひとのみち(現PL教団)の出現などなど。
カリスマの出現(戦前に於いては近衛文麿首相誕生)を待ち望む空気。
今の日本はこの段階まで来ている気がする。
もちろん、「日本はなぜ戦争を始めたか」のような政治経済の流れを追ってはいない。
一連の半藤一利の著作のような語り口もない。
山本夏彦の「だれか戦前を知らないか」という本のようなこともない。
あくまでも一覧性、入門篇としての1冊である。
それでも多彩な視点からの昭和初期の案内だ。
今の世上と昭和初期のこの相似形ぶりにある種の危惧を覚えるのは小生だけではあるまい。