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戦前日本の「グローバリズム」 一九三〇年代の教訓 (新潮選書)
 
 

戦前日本の「グローバリズム」 一九三〇年代の教訓 (新潮選書) [単行本]

井上 寿一
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

昭和史の定説が覆る! 一九三〇年代――それは日本が最も世界を知った時代だった。 国際連盟脱退、軍部の政治介入、日中戦争……多くの歴史教科書が「戦争とファシズム」の時代と括る一九三〇年代。だが、位相を少しずらして見てみると、全く違った国家と外交の姿が見えてくる。国際協調に腐心した為政者たち、通商自由化を掲げた経済外交、民族を超えた地域主義を模索する知識人――。新たな戦前像を提示する論考。

内容(「BOOK」データベースより)

満州と関東軍、軍部の政治介入、ブロック経済による孤立化、日中戦争…多くの歴史教科書が「戦争とファシズム」の時代と括る1930年代。だが、位相を少しずらして見てみると、全く違った国家と外交の姿が見えてくる。国際協調に腐心した為政者たち、通商の自由を掲げた経済外交、民族を超えた地域主義を模索する知識人―実は、日本人にとって世界が最も広がった時代だった。

登録情報

  • 単行本: 253ページ
  • 出版社: 新潮社 (2011/5/25)
  • ISBN-10: 4106036789
  • ISBN-13: 978-4106036781
  • 発売日: 2011/5/25
  • 商品の寸法: 19 x 13 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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主として1930年代初頭から、1941年の開戦前夜までが辿られている。個人的には、1章目の「満州―見捨てられた荒野」が興味深かった。満蒙に全国の零細農家を中心に移民が本格的に進んだのは、1936年広田弘毅内閣の「満州開拓移民推進計画」以降だろうから、その直前までは、満州への国民の関心は低く、印象と言えば、匪賊の跋扈する恐ろしい土地だと思われていたということは興味深い指摘だった。
ただ、残念だったのは最後が尻すぼみのようになっていたこと。1941年の開戦前夜の外務省、軍部、内閣、宮城の思いのすれ違い。アメリカの真意をはかり間違いなどなど。
そもそも、1930年代に特化したような印象を与えるタイトルを持つ本書だが、やはり1930年代だけで、戦前日本の外交史を俯瞰することは不可能なのだろう。1930年代の外交の功罪は、そのまま開戦、そして敗戦へとつながっている。
もしかすると、それらの読者が感じる不完全燃焼は、本書あとがきにある「昭和史三部作」の第三部として講談社から刊行予定の一冊の中で書かれるのかもしれないということで、それを期待したい。
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By 仮面ライター VINE™ メンバー
Amazonが確認した購入
  
 1930年代における日本は、1931年に勃発した“暗い幕開け”といえる「満州事変」を引き金として、32年の帝国海軍青年将校、そして36年の陸軍皇道派青年将校らによる「反乱」事件が相次ぎ、さらに1937年の「支那事変」などに見られるごとく、太平洋(大東亜)戦争そして敗戦に到る“助走期間”といった印象が強い。つまり、1930年代の日本は、軍国主義的な相貌を露骨に見せ始めていた時代、と一般的には認識されていよう。だが、著者の井上寿一氏(学習院大学教授)は、本書で「歴史の逆説の力学」(はじめに)を読み解き、「今日と共通する日本の国際化の問題」などに係る「教訓」(同前)の導出を試みている。

 さて、当書に関する感想だが、先ず「歴史の逆説の力学」を解き明かし得たか、という点である。特に、1929年に始まった「世界恐慌」への対応に関し、英国は1932年、帝国特恵関税制度によって英連邦諸国間で「スターリングブロック」(ブロック経済化)を形成するなど、「持てる国」英国等による「世界経済のブロック化」が推展した。それに抗して、「持たざる国」日本はあくまで「国際協調主義」に基づく「通商自由の原則」を掲げていた歴史的事実は実に重たい。実際、「自由主義を掲げる日本の経済外交は、二国間通商交渉によって、経済摩擦の調整を図った」(p.177)のであるが、現代日本外交と比べ特筆に値する。

 こうした日本の通商外交は、今日においても認容できよう。ただ、「持てる国(英仏等)」と「持たざる国(日独伊)」との「植民地(資源)争奪戦=世界再分割」といった平板なマルクス主義的解釈を排した展開には共感できるものの、その後の“真逆の結果=太平洋戦争”への“流れ”が足早となってしまい、惜しい感じもする。それは、日本の国内体制における“全体主義化”の問題も同様で、本書の副題である「1930年代の教訓」は掴み取れたが、「逆説の力学」を十分に説明し切れたか、というと、やや「竜頭蛇尾」に終わってしまった感がある。何れにしても、従来の「定説」を克服しようとする著者のトライアルは評価できよう。
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By blackstar トップ1000レビュアー
 国際連盟脱退後の日本は軍部主導になり、国際社会から孤立するならず者国家になって、ファシズム国と同盟関係を結び勝ち目のない両面戦争(中国大陸と南方)へ陥って行った。そう解釈している日本人は多いのではないか。一つには教科書で現代史に割く時間が少ない。またアメリカ占領下で単純な善悪論で、戦前日本が「悪」とされてきたのではないかと思われる。

 本書で解かれる歴史は違っている。松岡洋右は国際連盟脱退演説で知られるが、これは彼のパフォーマンスではなく外務省「国際協調派」の意図によるもので、自ら進んで脱退することにより対日経済制裁解除を狙ったものだった。

 またある時期までは米英協調の方が主流、「わが闘争」で有色人種に対する差別観を露わにしたヒトラー率いるドイツに対しては警戒感があった。ソ連に対抗するために日独防共協定を結んだのに独ソ不可侵条約を結んでしまうあたりも。 

 国際経済の面では世界恐慌下の日本はブロック経済によって英米に対抗した、という認識も間違いである。実際には自由貿易を標榜し世界で経済外交を展開していたのだ。当時は「グローバリズム(自由貿易)」対「ブロック経済(保護主義)」の単純な二項対立ではなかった。これは今日の日本にも教訓として生かすことが出来るのである。

 
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