主として1930年代初頭から、1941年の開戦前夜までが辿られている。個人的には、1章目の「満州―見捨てられた荒野」が興味深かった。満蒙に全国の零細農家を中心に移民が本格的に進んだのは、1936年広田弘毅内閣の「満州開拓移民推進計画」以降だろうから、その直前までは、満州への国民の関心は低く、印象と言えば、匪賊の跋扈する恐ろしい土地だと思われていたということは興味深い指摘だった。
ただ、残念だったのは最後が尻すぼみのようになっていたこと。1941年の開戦前夜の外務省、軍部、内閣、宮城の思いのすれ違い。アメリカの真意をはかり間違いなどなど。
そもそも、1930年代に特化したような印象を与えるタイトルを持つ本書だが、やはり1930年代だけで、戦前日本の外交史を俯瞰することは不可能なのだろう。1930年代の外交の功罪は、そのまま開戦、そして敗戦へとつながっている。
もしかすると、それらの読者が感じる不完全燃焼は、本書あとがきにある「昭和史三部作」の第三部として講談社から刊行予定の一冊の中で書かれるのかもしれないということで、それを期待したい。