おもに芸術について多くの批評を物してきた著者が、満を持して戦争について取り組んだ一冊。NATOによるユーゴ空爆を経験した世界が、「これまで知らなかった戦争の可能性に開かれてしまったことだけはたしかなのである」と著者が述べている通り、この本が書かれた二年後にわれわれは同時多発テロとそれに続くイラク戦争を目撃することになった。今や戦争は明確な目的のもとに国と国とが争うものでないことを知り、世界中で上がったあれほど多くの反戦の声がいとも簡単に無視されるという経験をしたあと、われわれはどのように戦争を捉えていけばいいのかという問いに大事な示唆を与えてくれる。知性をたえず未来にひらいていこうという著者の姿勢の瑞々しさに共感を覚えた。