そのギャップを埋める私企業が既に多数存在し、食料・燃料輸送などの後方支援、兵士の訓練、実際の戦闘に従事しているという。その市場規模は拡大の一途をたどり、1000億ドルとも言われている。
本書ではまず軍事の民営化に至る歴史的経緯に触れ、もはや戦争や紛争の現場が公の部隊だけで独占し得る状況ではないことを示す。次いで、世界に広がる民営軍事請負企業をサービスの内容から「軍事役務提供企業」「軍事コンサルタント企業」「軍事支援企業」に分類し、それぞれの代表的な会社を例に取って解説する。軍事外注化を適切に管理するには必要条件があるが、ここ10年の米国政府による民営化策は無計画であり、当該企業の法的地位すら不明確だと警鐘を鳴らす。
(日経ビジネス 2005/01/17 Copyright2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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39 人中、35人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
冷戦後の世界を考える際の必読書。,
By カスタマー
レビュー対象商品: 戦争請負会社 (単行本)
本書(原題『Corporate Warriors』)は、アメリカ政治学会で優秀な政策研究に対して与えられるグラディス・カメラー賞を受賞した快著である。冷戦後静かに進行しつつある「戦争の民営化」を、理論的洞察を織り込みながら丹念に記述していく。本書の長所は二点ある。まず一点目は事例の収集と記述。これだけで労作といえる。 二点目は、理論的・歴史的洞察である。前近代軍事史にも目配りした幅広いパースペクティヴ、なぜ「戦争企業」が隆盛してきたかの原因考察、そして公共経済学や産業組織論における市場・政府・(不完全)競争の枠組み。これらが相まって本書の価値を高めている。 なお、本書は(おそらく紙幅と時間の制約上)原注のほとんどと参考文献が割愛されている。本書をより深く吟味されたい方は原著を参照されたい。
23 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
新しい「民営化」の議論の端緒,
By フイヌム (東京都板橋区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 戦争請負会社 (単行本)
現在の、戦争請負会社(PMF)の状況を詳細に論じた書物。その形成の歴史(傭兵制度との相違点)や、個々の会社の業務内容、その問題点、そして現状への具体的な政策立案など、内容は多岐に渡り興味深い。 ただ原著は註などもしっかりした学術的な体裁をとっているのに対し、翻訳がそうした註を大幅に省略している点は気になる。 それでも、同じ戦争請負会社を論じた書物に比較すると、そのボリュームも深さも図抜けている(というか、他の書物はこれに比べるとかなり見劣りがする)。戦争論・民営化論・国際関係論等々、幅広い関心から読むことができる。 戦争という暴力行為が「民営化」された場合、何が問題として浮上するのか。その端緒を知る上で手に取って読まれるべき一冊だと思う。
18 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
国際関係論の前提に挑戦するPMF産業の勃興,
By
レビュー対象商品: 戦争請負会社 (単行本)
本書は、理論と実践の両方において、国際政治学に新たな研究領域を切り開く内容になっている。国際政治にせよ開発問題にせよ人道的介入の問題にせよ、この新たに出現した画期的な現象を素通りして論じることはもはや不可能となったと言っていいだろう。国民国家の誕生以来、外注化や民営化の可能性など一度も論じられたことのない唯一の領域は軍事であった。その最後の砦で今、国家の統制を離れてますます広い範囲の軍事業務が民間に委譲されている。そのことが意味するもの、その背景と原因、そして将来の展望を見渡すための極めて重要な一冊。原典は、アメリカ政治学協会から「2003年最優秀政治学図書」としてグラディス・M・カメラー賞を受賞している。
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