そのギャップを埋める私企業が既に多数存在し、食料・燃料輸送などの後方支援、兵士の訓練、実際の戦闘に従事しているという。その市場規模は拡大の一途をたどり、1000億ドルとも言われている。
本書ではまず軍事の民営化に至る歴史的経緯に触れ、もはや戦争や紛争の現場が公の部隊だけで独占し得る状況ではないことを示す。次いで、世界に広がる民営軍事請負企業をサービスの内容から「軍事役務提供企業」「軍事コンサルタント企業」「軍事支援企業」に分類し、それぞれの代表的な会社を例に取って解説する。軍事外注化を適切に管理するには必要条件があるが、ここ10年の米国政府による民営化策は無計画であり、当該企業の法的地位すら不明確だと警鐘を鳴らす。
(日経ビジネス 2005/01/17 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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本書の長所は二点ある。まず一点目は事例の収集と記述。これだけで労作といえる。
二点目は、理論的・歴史的洞察である。前近代軍事史にも目配りした幅広いパースペクティヴ、なぜ「戦争企業」が隆盛してきたかの原因考察、そして公共経済学や産業組織論における市場・政府・(不完全)競争の枠組み。これらが相まって本書の価値を高めている。
なお、本書は(おそらく紙幅と時間の制約上)原注のほとんどと参考文献が割愛されている。本書をより深く吟味されたい方は原著を参照されたい。
国民国家の誕生以来、外注化や民営化の可能性など一度も論じられたことのない唯一の領域は軍事であった。その最後の砦で今、国家の統制を離れてますます広い範囲の軍事業務が民間に委譲されている。そのことが意味するもの、その背景と原因、そして将来の展望を見渡すための極めて重要な一冊。原典は、アメリカ政治学協会から「2003年最優秀政治学図書」としてグラディス・M・カメラー賞を受賞している。
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