超大国アメリカがおかした恐るべき錯誤(=イラク戦争)の内幕を検証した骨太のノンフィクション。「戦争詐欺師」チャラビはもとより、キャラの強い人々の生々しい言動がトレースされていて魅力的な読み物になっている。著者の取材に対してアーミテージは「うまく行くと信じ込んでしまい、その信じる力が、現実を冷静に見る力に勝ってしまったのだと思う」と答えているのが興味深い。どれほど優れた組織であっても、高度なインテリジェンスを有していても、運用する人間に問題があれば役に立たないどころか、より巨大な悲劇を生む原因になってしまうのだ。組織の意思決定をめぐる「失敗の研究」として汲めども尽きぬ示唆に満ちた一冊ではないだろうか。