日中・太平洋戦争はなぜ起きたのか。
戦争が起こされる理由が説明されている。
最近の歴史修正主義は論外としても、
良心的な本でも、軍部が勢力を伸ばして
国を動かすようになったから、という感じで
書かれている。そして戦争は悪、平和が一番、と。
戦後日本は平和国家として軍事でなく経済に方向転換したのだと。
しかしこの本を読むと、戦争とは結局はビジネスだったのだと
合点がいく。
たとえば、日本が中国に軍隊を送る以前から
そこで大豆を買い付けていた三井物産。
1920年代になると、軍閥・張作霖が大豆ビジネス
に手を出し、三井の取扱高が伸び悩む。
その後張作霖が満鉄に平行した鉄道建設に及んだ時、
彼は関東軍によって爆殺される。
また、日本の財界は日清・日露・第一次大戦と10年ごとに
戦争することで大もうけしてきたのだが、
第一次大戦後は政党政治と大正デモクラシーで
戦争が起こしにくくなる。
さらに大恐慌で窮地に追い込まれ、
石原産業の社長・石原廣一郎などが南方進出を
となえるようになり(石原著「新日本建設」昭和9年)、
しかも彼らは裏では
海軍青年将校に9万円を渡して1932年に515事件を、
さらに陸軍青年将校らに35万円を渡して36年に
226事件を引き起こさせ、
政党政治を終わらせて軍国主義体制を確立してしまうのだ。
(当時の1万円は今の1億円以上)
その「南方進出」の目的は、マレーシアやインドネシア
などの石油、錫、ゴムなどの資源獲得。
太平洋戦争開戦とともに、資本家達は欧米の利権を
横取りする形で、それらを首尾良く手に入れる。
戦争って、国家間のいさかいというよりも、
国の中の資本家が軍や官僚や政治家を抱き込みながら
どのようにチームを組んで金儲けをなしとげるか、
そのために国民をいかに丸め込んでいくかという
プロセスなんだよなあ。
太平洋戦争も湾岸戦争もアフガンもイラクも
そういう意味では同じようなもんだ・・・・
しかしなんでこんな重要な本が全然知られていないんだろう。
「新しい歴史教科書」より100倍くらい
エキサイティングだし、目からウロコが落ちるのに。
(ただしクラーイ気分になるが。)
そうそう、戦争を裏で画策した財閥・企業って、
三井物産や石原産業(戦後は四日市公害を起こした)
はじめ、今も続いてる大企業ばかりだ。
そういえば、経団連って武器輸出3原則の撤廃と
憲法9条改定をしきりに主張してるよなあ。
こういう視点から情勢を見ることも大事だ。
ただし、高岩さん(故人)は研究者ではなく、データの出典が
書かれていなかったり裏付けが不十分なところもあり、
ぜひ近代史や近代経済史研究者が、これを発展させた研究を
されることを切望する。