1930年代を専門に扱う歴史家が選んだ専門書に関する書評の部分は他の方にお任せしまして、ぼくが感動したのは、学生時代に《一連の新鮮な義憤と強引な文体は私をいたく感動させ》《ビールで乾杯する時には、「ではでは」「まずまず」などわけのわからないことをつぶやく》までに椎名誠を愛した"活字中毒者"としての一面。
例えば、お盆休みは活字中毒者にはツライ、と加藤さんは書きます。なぜか。《せっかくの休みならば、縁側で風に吹かれて寝転がって本を読みたい、だが、久しぶりに話をしようと、虎視眈々とにじり寄ってくる親や親戚の子供たちを友好的に撃退するのは難しい。かくてお盆休みの欲求不満は、休み明けにかくも厚い本を手に取らせることになる》として山根貞男『映画監督深欽二』などを紹介するあたり。ホント名調子。《久々の休日。洗いたての糊の効いたシーツに足を滑り込ませつつ、しばしの至福の時を共に過ごす本として何を選ぼうか、と思い巡らす瞬間。これは本好きにとっては重大問題》なんていうあたりも共感できます。
イラクの対日感情が良いのは、70〜80年代にかけての商社マンの活躍によるものという勝谷誠彦『イラク生残記』を読みながら、たった一度だけ専務に反対したために灼熱の砂漠に飛ばされる商社マンを描いた城山三郎『真昼のワンマン・オフィス』に思いをはせる展開も素晴らしいというか硬軟取り混ぜて、いろいろと読んでいるなという印象で、いやー、本当に好感度アップですよ加藤先生!