国内でもし、戦争が起こったら。
思春期の視点からみると、こんなにも日常とシンクするものかと、遠い感覚のようでもあり、妙なリアリティがあるようでもあります。
身の回りにあるものに染まっていく子供の順応性と、周りに適合してよりうまく行きぬけようとする大人の思惑との間のエアポケットに、ロマンティシズムが存在します。
少し右に振れれば恐怖に口も聴けなくなり、少し左に振れれば人の小さな癖に舌打ちするような暢気な気持ちになる。
さまざまな外因でふらふらと行き来する情緒のうちに、「確固たる何か」の幻想が生まれることがあるのではないかと思います。
戦争で親を失くしたり、身近な大人のプリミティブな姿を見て幻滅したり、御飯が食べられなかったり、やっと手に入れた食料の対価を知ったり。
そんなことで傷ついた子供の心を攫うのは、とても簡潔な形の英雄なのではないでしょうか。
そして、その幻想を失ったら?
その答え、一つのケースが主人公の前半生なのだと思えたのです。