カスタマー氏は「井川一久氏訳による本書はハノイ政府擁護の立場からバオ・ニン氏の原作を著しく歪曲していると批判した大川均氏が . . . 云々」とのコメントをされておられるの読み投稿します。私はこの作品は、ベトナム戦時下に生きたキエンとフォンの織りなす人間の悲しみを叙情詩的に描写した作品であるから、政治、軍部がらみの多少の歪曲(意図的誤訳)があったとしても、それがこの作品の評価を下げることには成らないと思う。この作品を読み終えて、キエンもフォンも他の登場人物も、誰一人としてハノイ政府、人民軍、さらには敵国である米軍に対して反体制的、批判的な言葉など口にせず、厭戦気分や愚痴や憎しみの言葉さえ一切発言していない。「ヴェトナムに生まれたのだから、戦争という宿命を背負って生きていくのは当たり前だ」とでも言う一種の諦念(またはDNA)で生きている。(近代国家に成ってからも仏、日本、米、韓国、カンボジア、中国、等と半世紀にわたって戦争を続けなければ成らなかった薄幸なヴェトナムよ。)
1年以前にHCM市での9ヶ月間にわたる仕事を終え帰還しました。ベトナム戦争は自分の青春時代と時間的に重なる私は帰国後、異文化体験を反芻している間に偶然知り会えた「戦争の悲しみ」を夢中で読みました。