毎年,この時期に読書を通じて「戦争」を考える。
この一冊も,戦争を体験していない私にとって,これからの日本や平和のあり方を考える上で貴重な判断材料となった。
第3章「戦時のメディア」では,読者に敵国民への憎しみをかきたてる異様な文体がなぜ生まれたのかという視点を踏まえて,むのたけじへのインタビューを行い,「戦争になれば人間はゴミみたいに扱われる。そうならざるをえない。だから戦争はやっちゃだめなの」という言葉を引き出している。
また,第5章「殺人テクノロジー」では,戦時中の新聞報道を丹念に検証する中で,広島・長崎の被害に遭う以前(昭和19年12月)に,「原子爆弾」への期待を書いた記事が複数の一般紙に掲載されていた事実を示し,当時の日本国民が「無知で無垢だった」とは言い難いことを実証している。
著者は1951年生まれ。1965年生まれの私と同様,叔父の一人が戦死しているという。著者は,「一時の熱狂にはまって憎悪の泥沼に足を踏み入れないために,いま知性をふるいおこして戦争の実体を見すえたい。」と記して本書をしめくくる。
この夏オススメの一冊。