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戦争が遺したもの
 
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戦争が遺したもの [単行本]

鶴見 俊輔 , 上野 千鶴子 , 小熊 英二
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (12件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

◆鶴見俊輔氏がすべてを語る!◆

『〈民主〉と〈愛国〉』で読書界の話題をさらった小熊氏が、今回はあの上野千鶴子氏をさそって、戦後思想界の大御所・鶴見俊輔氏に、戦争体験を軸に戦中から戦後にかけての経験をお聞きします。戦時中の捕虜虐殺、慰安婦問題、戦後の『思想の科学』時代、「転向」研究、安保闘争、ベ平連と脱走兵援助、など、これまで聞き手が遠慮してきたようなこともすべてお聞きしています。また、鶴見氏も「今回はすべて話します」と言って、洗いざらい答えられています。鶴見ファンにとっては、はじめてお聞きするようなことがゴロゴロ出てきて、たまらない本になるでしょう。上野ファン、小熊ファンにとっても、それれの鋭い切り込みによる鶴見氏の赤裸々な「告白」をとおして戦後思想史の隠されていた部分が次々に明かされるスリルと、丁々発止の対談の魅力を味わうことができるでしょう。

内容(「BOOK」データベースより)

アメリカでの投獄、戦時下の捕虜虐殺と慰安所運営、60年安保とベトナム反戦、丸山真男や吉本隆明との交流…。戦争から戦後を生き抜いた知識人が、戦後60年を前にすべてを語る。

内容(「MARC」データベースより)

「今こそ、すべてを話そう」 アメリカでの投獄、戦時下の捕虜虐殺と慰安所運営、60年安保とベトナム反戦、丸山真男や吉本隆明との交流など、戦争から戦後を生抜いた知識人が、戦後60年を前にすべてを語る。

著者からのコメント

◆小熊英二氏「まえがき」より◆

つまるところ、「戦後」を終わらせる、あるいは相対化するためには、「戦争が遺したもの」と向きあい、「戦後」を理解するべく努めるほかないという、いささか平凡な結論に到達する。いまだに「戦後世代」でしかありえない私たちは、いまだに「戦後」でしかありえない時代を生きてゆくなかで、そうした努力に迫られざるをえない。そうした意味で、鶴見氏の戦争体験と戦後体験をお聞きすることは意義を持つと考えた。

◆上野千鶴子「あとがき」より◆

鶴見さんの信頼の深さをまえに、わたしはバトンを手渡された気分である。わたしも小熊さんも戦争を知らない。日本では人口の三分のニまでが、戦後生まれで占められるようになった。戦争体験は、もはや経験者が語り継ぐものではなくなり、それをまったく知らないものたちが再構成して引き受けるほかないものになった。だが、二十一世紀の今日、戦争は少しも過去のものになっていない。あの惨憺たる経験から、わたしたちが学んだことはまだまだ足りない、かのように。

歴史は、それから学ぼうとする者にしか姿をあらわさない。歴史という道しるべのない道を、わたしたちの前に立って歩んできた鶴見さんという知性から、学ぶことは多い。わたしたちはいささか性急に、そしてあまりに無遠慮に、かれがこれまで多く語ってこなかったことを引き出したことを引き出したかもしれない。それというのも、鶴見さんがわたしたちに示した寛大さと信頼のしるしであり、それを受け取ったものには責任が生まれる。願わくばその責任を、読者のあなたにも分かちあってもらいたい。そう願って本書を読者のもとに送りたい。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

鶴見 俊輔
1922年、東京生まれ。哲学者。15歳で渡米、ハーヴァード大学でプラグマティズムを学ぶ。アナキスト容疑で逮捕されたが、留置場で論文を書き上げ、卒業。交換船で帰国し、海軍ジャカルタ在勤武官府に軍属として勤務。戦後、丸山真男などと『思想の科学』を創刊。アメリカ哲学の紹介や大衆文化研究などのサークル活動を行なう。京都大学、東京工業大学、同志社大学で教鞭をとる。60年、安保改定に反対し、市民グループ「声なき声の会」に参加。65年、べ平連に参加し、アメリカの脱走兵を支援する運動に加わる。70年、警官隊導入に反対して同志社大学教授を辞任。主な著書に『戦時期日本の精神史』(岩波書店、大仏次郎賞)、『夢野久作』(リブロポート、日本推理作家協会賞)など。1995年度朝日賞受賞

上野 千鶴子
1948年、富山県生まれ。京都大学大学院社会学博士課程修了。平安女学院短期大学助教授、京都精華大学助教授などを経て、現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授。専門は女性学、ジェンダー研究で、この分野の指導的理論家の一人。主な著書に『近代家族の成立と終焉』(岩波書店、サントリー学芸賞)など

小熊 英二
1962年、東京生まれ。1987年東京大学農学部卒業。出版社勤務を経て、98年東京大学教養学部総合文化研究科国際社会科学専攻大学院博士課程修了。現在、慶応義塾大学総合政策学部助教授。主な著書に『単一民族神話の起源』(新曜社、サントリー学芸賞)、『“民主”と“愛国”』(新曜社、日本社会学会奨励賞、毎日出版文化賞、大仏次郎論壇賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

抜粋

上野 少数精鋭の同人で始まった『思想の科学』が、一般のからの投稿を受け入れるようになったのは、どういう経験からなんですか。
鶴見 それは、もともと私の発想じゃなかった。大野力という、群馬県の共産党の地区委員をやった人物が、共産党を除名されたところから『思想の科学』の同人に入ってきた。そして、彼の知り合いで同人に入りたい人がいたんだけれど、その当時は同人二名の推薦がなければはいれない。それを取っ払っちゃって、誰でも入れるようにしようということを私が言ったんだ。そこから、同人以外の寄稿を受けつけることも起こった。
 その結果いろんな人が入ってきたんだけれども、当時の実務をやってくれていた市井三郎がものすごい打撃を受けちゃってね。つまり近くに同人がやってきて、市井三郎の勉強の時間を奪うわけ。からは阪大の理学部で化学の出身なんだよね。そして哲学は素人だったので、一所懸命に哲学史を勉強した。さっき話がでたラッセルの『西洋哲学史』というのは、彼が全部自分ひとりで訳したから、たいへんな勉強家なんだよ。それで、記号論理学も勉強したいとか考えているときに、いろんな人間にわっと入ってこられて、いろんなことを言われてたいへんに困った。それで彼は私に、大衆文化はやめようという意見を強く述べる葉書をくれた。
上野 じゃあ内部でも路線の対立があったわけですね。
鶴見 そうだけど、結局は、なんとなくその大衆文化の方向に行った。そうしないと雑誌も売れなかったしね(笑)。
上野 そうすると鶴見さんは、どちらの側に立たれたんですか。
鶴見 もう大衆化したんだから、やってしまえ、という方向だね。つまり初めの7人の顔ぶれは、丸山真男・都留重人・渡辺慧・武谷三男・武田紀代子に和子と私、これはレベルの高い同人会議だった。
上野 まさに少数精鋭ですね。
鶴見 だけど、それではやっていけなかった。とはいえ、大衆化する以外の選択の機会もあったんだ。というのも、最初の同人には英語を話せる人間のパーセンテージが高かったということもあって、ロックフェラー財団が補助してくれた。
上野 申請したんですか。申請しないとお金なんてくれないでしょう?
鶴見 くれるって意向が、向こうからきたんですよ。
上野 えーっ!
鶴見 やっぱり、それだけの集団だと認められていたわけですね。ところが一九五〇年ごろに、その補助の問題で総会が紛糾してね。その当時、井上清・奈良本辰也・林屋辰三郎といった共産党系の歴史家が、会にいた。彼らが、「アメリカ帝国主義の補助を受けるな」と主張したんだ。
小熊 逆コースや朝鮮戦争が始まって、共産党がアメリカと全面対決してゆく時機ですね。
(「五〇年代の葛藤」より)
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