これもまた、OVA創成期の名作の一つに数えられる作品だと思います。今、ほぼ20年ぶりに見返してみても、決して懐かしさばかりではない、思いがけない位に確かな迫力と、関わった人々の並々ならぬ熱意が、作品のそこここから滲むように感じ取れる気がします。
かつて何より感動したイクサー1の言葉づかいの美しさ、全編に溢れる良き時代の特撮作品への追想と賛辞にも似た雰囲気、その雰囲気が渡辺宙明さんの音楽によってより強調されている所、ある種の切なさを秘めながらも聞く度に心が浮き立つ、如何にもこの手の作品に似つかわしい乗りの良い主題歌の数々……等々、何とも言えず好きな要素が幾つも合わさって、見終わった後、あの当時と同じ不思議な気分の高揚をしみじみと感じ、疲れた心に新たな力が注ぎ与えられるような、そんな思いで一杯になってしまいます。エンディング・クレジットのキャスト表記が不十分な巻があるなど、細かな点で気になる所も散見されますが、それもまた、創成期の作品であればこその特色かも知れません。ただ、わたなべぢゅんいち氏デザインの、あの内臓を剥きだして巨大化させたような醜悪極まるモンスターや、不必要な位に露出度の高い渚の衣装などには、矢張り今だに馴染めないものがありますが……。(それにしても、巨大メカに全裸で搭乗する渚やセピアよりも、返って露出の殆どない戦闘コスチュームに身を固めたイクサー1・イクサー2の姿の方が、より美しく艶めいて見える気がするのは何故なのでしょうか?)
何より注目したいのは、敵将サー・バイオレットの存在。滅びゆく宿命を負って宇宙を彷徨うクトゥルフの長であり、ふと覚えた心の隙に入り込んだ魔性の存在に操られて地球侵略を指揮することになる悲劇の人。その、中性的な母性とでも呼べそうな独特の魅力が、男女お二方の声優さんの好演により、更に増し加わっているように思います。