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或る少女の死まで―他二篇 (岩波文庫)
 
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或る少女の死まで―他二篇 (岩波文庫) [文庫]

室生 犀星
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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壮絶な少年時代である。元武士と女中との間に生まれた「私」は生後間もなく近所の家に養子として預けられる。実の両親への思い断ちがたく、日に何度も実家を訪れては養家の親に叱られる毎日。やがて実父が死ぬと、女中であった母は追放されて消息不明になる。「何処かで生きていて欲しい」母への強い愛慕から「私」は河原で拾った地蔵を庭に飾り、それが縁で寺に養子として迎えられる…。
本書に収められた「幼年時代」は、詩人としてはすでに名を馳せていた室生犀星の処女小説である。作者自身が「他愛のない自叙伝」と評する物語には、とてつもなく孤独な少年の姿が、詩人の稀有な言語感覚で描かれている。例えば作者が「父」と書くとき、それは血を受けた実父のことであったり、もらわれていった寺の老和尚であったりする。それを犀星は等しく「父」と呼ぶのである。唐突で時には無邪気とさえ感じられる言葉遣い。だが読み進めるうちにその言葉の一つ一つが、宝石のように幾層もの輝きを放って迫ってくる。この独特の言語感覚が、新鮮な涼風として当時の文壇に迎えられたに違いない。
他に、やはり自伝的な「性に眼覚める頃」「或る少女の死まで」を収録。若く貧しい詩人の孤独な青春時代を題材に、人がどれほど純粋な存在であるか、そしてどのように汚れていくのかをつづった、犀星文学のテーマの原点を成す作品集である。(三木秀則)

出版社/著者からの内容紹介

繊細な感覚で日常の美を謳った大正詩壇の鬼才,室生犀星の初めての小説を含む自伝的三部作.古都金沢で数奇な星の下に寺の子として育った主人公は,詩への思いやみがたく上京する.詩人志望の青年の鬱屈した日々を彩る少女との交流をみずみずしく描いた表題作他,『幼年時代』『性に眼覚める頃』を収録.(解説=富岡多惠子)(改版)

登録情報

  • 文庫: 288ページ
  • 出版社: 岩波書店; 改版 (2003/11/14)
  • ISBN-10: 400310661X
  • ISBN-13: 978-4003106617
  • 発売日: 2003/11/14
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 282,492位 (本のベストセラーを見る)
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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
・とめどない母親や姉への愛おしさが、全編を貫いている。「惜しみない愛に包まれたい」、心の深奥からの叫びが、其処彼処から溢れてくる。読むほどに切なく、生を与えた親への素朴な思いが、一語一句から湧き出てくる。その乾いた孤独を先生からわかってもらえず、反抗を貫く。一途なまでの少年の思いが、いじらしい。犀星の生い立ちのこういった重さが、満たされなさが、リリシズムに溢れた、読み手の琴線に響く作風を生んだのでなかろうか?嫁いだ姉の家を訪れる心、残された教室で罰を受けながら屋根瓦を数える寂寥感。私たちの根幹に潜在する孤独な魂を、犀星は鮮やかに描き出した。その寂しさを慰撫しあいながら、人間は生きていかざるを得ない。人間存在の根本テーマを、自らの足跡の中にどっしりと書き綴った。幼い頃から静かな孤独を引き受けざるを得なかった犀星の、心の雫が伝わってくる佳品です。
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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
女性礼讃。 2008/2/7
By 如那傘如臼太 トップ500レビュアー
形式:文庫
この本には、室生犀星の自伝的小説三編が収録されているが、
その三つに共通しているのが女性への憧憬である。
「幼年時代」では実の母と義姉への愛慕、「性に目覚める頃」では自身の女性への肉欲との葛藤、
「或る少女の死まで」では、主人公と二人の異なる少女の触れ合いと別れが描かれている。
どれも女性美を称え、また愛する女性との別れを嘆くものであるが、その形式はかなり異なる。
第一作では主に肉親としての女性への愛、第二作では思春期の主人公の女性に対する性的興味と恋愛感情、
第三作では少女に対する、可愛らしいものを愛するときの純粋な気持ちが描かれている。
一応三編とも別作品であるが、主人公の女性観の発展と成熟の過程とみることもできよう。
それを意識して読むと、なおよいと思う。
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11 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
繊細な文章 2003/10/10
By mbookdiary VINE™ メンバー
形式:文庫
非常に繊細な表現で少年の成長とともにその周囲の人間との関わりを描く。タイトルの「或る少女の死まで」では、作家修行中の主人公が泊まる宿の隣に住む家族の少女が死ぬという所で物語が終了するが、最後に彼女に宛てた悼詩が紹介されるがそれがとても切ない。その他、「性に目覚めるころ」では、主人公が恋心を寄せる少女の赤い着物が寺の境内に映える姿が印象的であったり、「幼年時代」での腹違いの姉へ向けられら淡い愛情が切ない。
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