表題作『我楽多街奇譚(全3話)』の他、『ライヤー教授の午後(全8話)』と『宵闇通りのブン(全7話)』という、初期を代表する連作シリーズをまとめて収録しています。これらは近世〜近代辺りのヨーロッパ(風の世界)を舞台とした不思議なブラック・ファンタジーで、内容に統一感があるし、どれも非常に面白いです。
不条理がまかり通る世界観、怪奇と幻想、奇抜なアイデア、ドタバタコメディーの楽しさ…。葉介漫画以外では、あまりお目にかからないテイストです。
『我楽多街奇譚』の1編「頭に咲く花」に出てくるスクワーム教授などは、飢えを克服するため土を食べられるようになったという変わった人物です。またこれは、ラストで不安な余韻の残る逸品なのですが、途中であ然としました!どうやったらこんなの思いつくんだろうな。
『ライヤー教授の午後』は幻想色が強くてほとんど童話みたいな世界です。「びん詰めの心臓」では、以前浜辺で生きた心臓を拾ってびんに詰めて飼っていたのだが…という奇怪な事件の顛末が、ライヤー教授の口から語られます。
「猫夫人」からやや趣が変わって、魔術を使う超然とした美女である“猫夫人”を中心に物語が展開されます。ライヤー教授たちを食べようとしたり残酷極まりないんだけど、天然でどこか憎めない。彼女の浮世離れし過ぎたキャラをいかした、ギャグやブラック・ジョークが非常に面白い。
『宵闇通りのブン』は、可愛い顔してシニカルな少女ブンが、毎度とんでもない奇人変人に関わっていくお話です。アイデアも各話のまとまりもいいし、それにやっぱブンがカワイイです。決めゼリフは「ばーか」or「バッカみたい」。
3シリーズそれぞれ絵柄・世界観が独特でクセが強いので、好みが分かれるとは思います。自分は大好きなので、☆は5つです。
<我楽多街奇譚>
「頭に咲く花」
「動物園にて」
「私にいかにして引力と手をにぎったか?」
<ライヤ−教授の午後>
「びん詰め心臓」
「ミリオンの首」
「ミリオンのおつかい」
「猫夫人」
「猫夫人の午後」
「広場の演説」
「酒場の演説」
「悪夢から悪夢へ」
<宵闇通りのブン>
「ファルコンのパイプ」
「フ−プァ−空をゆく・その1」
「フ−プァ−空をゆく・その2」
「おじさんの手紙」
「将軍大いに語る」
「One-Man's-Ceiling-is-Another-Man's-Floor」
「パパを待つ」