このご本は対談形式であるため、大変読みやすく、基礎知識のある方なら1時間もあれば読めてしまうかも知れません。だからと言って、内容が薄い訳では決してなく、むしろその逆であります。糖尿病だけでなく「心と食」「現代医療の問題点」「人の身体に本来ふさわしい食」などについて実に奥の深い内容に仕上がっております。
『賢位に居す』(けんいにこす)
宮本さんから出た仏教の言葉でございます。常識から離れる事が出来ない権威の高い方々。今の世の中に一杯でございます。それが誰とは申しませんが(笑)。一流作家は皮肉り方にも品が御座います(笑)。
「常識の壁」
こっちは江部先生のお言葉でございます。そして、これだけ間違っていると分かりながら、自分を否定できない、総括出来ない、自己批判出来ない方だらけであると、江部先生はきっぱりと批判されておられます。バチカンがきっちり自らを総括し、ガリレオの名誉を回復したのは彼の死後350年たった、1992年の事でございます。権威の高い方ほど、お時間が掛かるみたいでございます(笑)。
「久山町の悲劇」
これも江部先生の造語でございます。律儀に九大の先生の教えを守って、食事療法した福岡県久山町の町民は、男性の6割が糖尿ないしは予備軍になってしまった悪夢の事であります。ここで言う「食事療法」とは、もちろんカロリー制限食、糖質60%のものでございます。糖尿病学会のお墨付きの手法です。糖尿病を防ぐどころか、糖尿病を招く「死の食事療法」だったわけでございます。それが証明されてもなお「総括」出来ない偉い方々ばかりでございます。
「ケトン体」
宮本さんは全く知らない用語だったといいます。素人が知らないのは止むを得ないにしても、専門家たる医師がちゃんと知らない代表的な事項であると江部先生は指摘します。このケトン体が認知されないから、脳はグルコースしか利用できない、となるみたいです。ケトン体にちゃんと「市民権」を与えねばなりません。
「長期予後」
理解が高まっていながらも長期予後が分らないからまだ自分の患者には勧めにくいと言う医師。いつも出てくるのがこの「長期予後」であります。でも、「今、ここに有る危機」をほっておいて、30年後の事を先に考えるなんて、逆立ちもよい処。江部先生は「とんでもない」ときっぱりと切り捨てます。
結論です。
「我々人間はあまりに速く食生活を変え過ぎたのかもしれませんね。」(宮本)
現代病、穀物病の爆発を見れば、身体が追い付いていないのは明らかでございます。
さすれば、食を戻すしかありません。人の身体に本来ふさわしい食(糖質制限食)に。
もちろん、星は5つ。
皆様にお勧めできる作品です。