日本の壮年・熟年世代の方が、自分の技術や経験を活かし、いわゆる開発途上国
でボランティアとして活動している。そんなシニアボランティアが実際にどんな
活動を行っているのか覗いてみたければ、本書はまさにうってつけの一冊だ。
著者自身は厳密に言うとボランティアではなく、ボランティアを支援する調整員
という役職(詳細は国際協力機構JICAのウェブサイト参照)で、マレーシアに赴
任していた模様。著者が支援していた数多くのボランティアの活動が紹介されて
いる他、現地政府機関と打合せを重ね、ボランティアの活動がより大きな成果を
生み出すよう工夫を凝らす調整員の役割も知ることができ、大変興味深い。
ただ、マレーシアは途上国といっても経済発展が著しく、生活水準は比較的高い
ので、ボランティア活動の目的は工業や農業のレベル向上が中心だ。一方、世界
的には、貧困や疫病、戦争などの恐怖に晒され続けている人々が多く、従って先
進国からの支援はもっと生活の基礎的な部分の改善、つまり衛生状態の向上や初
等教育の充実などを目指したものが多い。そういった意味でマレーシアでの国際
協力は例外的ともいえることを、本書を読む際には頭に入れておいてほしい。
また、国際協力機構JICAのウェブサイトによれば、平成17年度からシニアボラン
ティアの制度・処遇等が抜本的に改定される予定であり、本書で描かれているボ
ランティアの活動や日々の生活の様子が今後大きく変わる可能性があるので、一
応承知しておいてほしい。