ミュンヘン一揆に失敗し幽閉されたアドルフ・ヒトラーが、再び政治の世界で台頭し、やがて国家・国民を掌握、破竹の勢いで第二次世界大戦へと突入していく様から、その後の終末・崩壊への道筋が足早に語られて行きます。
このドキュメンタリーを観ると、ヒトラーの巧みな話術が人心を惹きつけると共に、率いるナチスが文字通りの暴力によって、敵対する勢力を駆逐していった様子が良く分かります。
こういったファシズムの台頭を赦した背景には、第一次大戦に敗北し疲弊した、当時のドイツの経済的・社会的な状況も垣間見えます。天文学的なインフレーションや、高い失業率。貧困から来る、国民としての自身の喪失…。
そういった中での力強いカリスマ指導者の出現は、人々を狂喜・熱狂させるには充分だったのかも知れません。
その裏での、ユダヤ人やマイノリティーに対する大量虐殺の数々…。ゲットーでの痩せて震えた子供達の姿には、とても非人道的なものを感じました。
これ等の映像を観ながら…、当時の日本国が、ヒトラー率いるこの国家と同盟(日独伊三国同盟)を結んだという歴史的事実には、背筋が寒くなるものを感じます。当時のアメリカ政府は、この同盟締結を持って、対日戦を決意したとも言われます。
名著『坂の上の雲』に描かれた、明治の武人達の武士道精神は、帝国主義の欲望に目の眩んだ昭和初期の日本人の中には、とうに廃れていたというより他有りません。
これ等の映像を観て学ぶ事は、当時のナチスの残虐さや、当時のドイツ国民の愚かさだけでは有りません。自分自身が、当時のドイツ国民に生まれていたとしたら、きっと同じ様に、ナチス・ヒトラーに熱狂的な声援を送っていたかも知れない、その怖さに有ります。
極限の状況が、人々を狂気に駆り立てる事も有ります。冷静な目で社会を見つめ、政治を見つめ、平和の価値を改めて実感すると共に、維持・発展させていく為にも、こういったドキュメンタリーを観るという事は、大事な事だとも思いました。
古い映像ばかりですが、リマスターされている事もあってか、比較的見易かったとは思います。