5つのケースモデル、つまり実際のユーザ事例を、
・IT不良資産化企業群
・部門内最適化企業群
・組織全体最適化企業群
・共同体最適化企業群
といった5つのIT化成熟ステージに分け、
実際の顧客現場での現象をフィクション的に問題提起し、掘り下げ、
ERPコンサルタント、SOA等の識者の方、サービス企画部門の方々が
”視点、視座”を具体性をもって紐解き、中堅中小企業層における
経営課題としてのIT方向性を見出すに至るための、ノウハウを
伝授するワークショップのような仕上げ方をしている一冊です。
前回頂いた一冊『我が社の決断 IT化の別かれ道。そのとき、
企業は何を選ぶのか?』の書評にも書かせて頂きましたが、
JBCCさんと言えばIBMビジネスパートナー筆頭企業ですが、
今回も特定ハードウェアや、特定ソフトウェア製品群、
特定サービス等々の記述は全く見られません。
あくまで物売り視点ではなく経験ノウハウから実際の事例で
問題点の身近さを浮き立たせ、解決のためにIT専門家としての
”視点・視座”を提供しています。
中堅中小企業層でしっかりとしたCIOが擁立できていないような
企業経営者の方にはその視座に授かることはメリットが大きいと感じます。
最初に158ページ目の「おわりに」から読み始めるのも効率的かと。
私見ですが最近身近で感じていただけに目を引いたのが、
組織強化について『目標管理をスキル指向、プロセス指向に』とか
『仕事のやり方を標準化』させIT有効活用で組織強化を図るべし
という指摘はまさに然りと。属人性が企業競争力の足かせになる
ケースはどちらの企業でもよく目にしますし、組織の壁、人間関係で
結局見て見ぬ振りといったことも多い日本ですから、
ストレートに指摘することは大切だと感じます。
また『将来のITを考えるにこれまでの歴史を振り返る』もまさに然りと。
ITに対する考え方も問題点も答えも100社100様であることを
ごく自然なことと据え置き、その上で答えを導き出すための
”視点・視座”はこういったところですよ、と持って行く。
絶大な数の中堅企業層基幹系システムの実績と経験の厚さが醸し出す、
信頼できるITシステムアドバイザリーそのものといった印象の一冊でした。