(上巻からの続き)
全体として彼の幼少の生い立ちから、絶筆までを延々書き綴っており、やや起伏
にかける印象を受けましたが、第八部 渾身の「黄色い血」キャンペーン は一読
に値します。長らく日本を騒がしている血液製剤感染問題で、国と被害者の和解が
成立したことは記憶に新しいところですが、彼の「売(買)血追放・献血百パーセ
ント」活動は、後世の薬害エイズ問題、フィブリノゲンによるC型肝炎問題のルー
ツに切り込み、取材対象をすべて実名で克明に綴っています。一連の血液性製剤に
よる薬害を考察するに当たっては、外せない資料となっています。新聞記者は、
本気になれば社会を変革するパワーを持っていることを見せ付けられました。
それに比べて最近の新聞のつまらないこと。大新聞を私物化する経営者やそれに
媚びへつらうサラリーマン記者の記述も後半出てきますが、このような内部状況が
紙面をつまらなくして読者の減少に歯止めがかからないのでしょう。かく言う私も
活字が大好きにもかかわらず新聞は何年もとっていません。読者減少をインターネットの
せいにするのは簡単ですが、新聞が衰退していくのはその内部体質によるところが
大きいのではないでしょうか。このままでは本当にメディアとしての新聞の役割は
終わってしまうと思いました。