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成長なき時代の「国家」を構想する ―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―
 
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成長なき時代の「国家」を構想する ―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン― [単行本(ソフトカバー)]

中野剛志 , 佐藤方宣 , 柴山桂太 , 施光恒 , 五野井郁夫 , 安高啓朗 , 松永和夫 , 松永明 , 久米功一 , 安藤馨 , 浦山聖子 , 大屋雄裕 , 谷口功一 , 河野有理 , 黒籔誠 , 山中優 , 萱野稔人
5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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成長なき時代の「国家」を構想する ―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン― + 自由貿易の罠 覚醒する保護主義
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商品の説明

内容紹介

「豊かさ」とは、「国民」とは、「共同体」とは、「国家」とは――危機の時代の経済と社会のあり方、そして新しい国家ヴィジョンを、新進気鋭の思想家たちが提言。

内容(「BOOK」データベースより)

豊かさとは、国民とは…新進気鋭の論客たちが提言する、新しい国家ヴィジョン。

登録情報

  • 単行本(ソフトカバー): 408ページ
  • 出版社: ナカニシヤ出版 (2010/12/10)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4779505135
  • ISBN-13: 978-4779505133
  • 発売日: 2010/12/10
  • 商品の寸法: 19 x 13 x 3.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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経済成長を目的とした従来の政策に代わる政策ビジョンを「オルタナティヴ・ヴィジョン」と位置付ける。このヴィジョンは、
 1.国民の福利向上を目的とする。
 2.人間関係・共同体の持続性と一体感の維持
を目指す。

これにより、経済政策の重点は、これまでの政策ヴィジョンと異なり、
 1.「個人」から「社会」へ
 2.「短期」から「長期」へ
 3.「量」から「質」へ
 4.「事後」から「事前」へ
と大きな転回を伴うこととなる。

第1部は中野剛志による「オルタナティヴ・ヴィジョン」の解説。

第2部は、様々な論者が各々の専門分野からこのヴィジョンを掘り下げる論考集。

第3部は、討議。

どこを切ってもユニークな論考が目白押しである。

個人的には、仕事柄、黒藪誠の地域産業政策に関する論考を興味深かった。
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27 人中、22人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
きわめて刺激的な内容だ。本書のメッセージを一言で言えば、これからの時代の政策のあり方は、安易な経済成長路線ではなく、国民福利の獲得にシフトすべきであること、これを論じてる。ここでいう福利とは、自分の人生に対する積極的な評価とする。

なるほど、安直な右肩上がりの妄想戦略よりも、想像力を働かせつつ、国民の幸せは何かを多様な視点で政策的に考える。これこそ、まさに未来構想力の真髄、そう感じられる内容に仕上がっている。

特におすすめなのは、山中優氏の議論である。山中氏の章では、資本主義、マルクス、ヒトラー、ハイエク、ドラッカーの議論がはっきりと整理されており、しかもこの議論が奥深くとても興味深い。

以下、山中氏の議論について、私なりに解説してみよう。

1.資本主義とマルクス主義は同根である

資本主義は、自由と平等を実現することを建前とする。しかし、その建前が果たされるのは、私的利潤を最高の美徳とする場合に限る。結果として、ブルジョア階級を生み出し、平等も自由も実現されることはなかった。

マルクス主義も同様に、自由と平等を実現することを建前とする。けれども、その建前を成し遂げるのは、私的利潤を法などによって廃止することで実現するのである。国有化された生産手段の「管理者」という共産党幹部という特権階級を生み出した。要するに、マルクス主義とは、中産階級の社会主義である。

2.ファシズムに関する「ハイエクVSドラッカー」の論争

ハイエクとドラッカーは、同時代に生きた優れた思想家だった。ハイエクの「隷属への道」では、ファシズムが生み出されたのは、物質的・金銭的利益の分配基準をめぐる階級間の激しい争いだったとした。

これに対し、同じ時代を生きたドラッカーは、経済的側面だけでなく、社会的なステイタス意識こそが、ファシズムと関連していたことを論じている。そして、ドラッカーの指摘は、ナチズム研究成果とも符合する。

3.ドラッカーによるナチズムの解説

すでに1で述べたように、資本主義も、マルクス主義も、自由と平等を実現することは出来なかった。このような対極的な主義双方も、矛盾をかかえ、第二次世界大戦当時、「絶望」が全世界に横たわっていた。

そこに現れたのは、ヒトラーだった。ヒトラーは、人々に威信感情を満たすような社会的ステイタスを与えた。これがドラッカーの指摘したファシズム誕生の二つ目の側面である。ナチズムが大方の予想を裏切り、崩壊しなかったゆえんは、国家機構は能力主義を貫き、党組織では下層階級出身者に「エリート」という権威を与えたことによる。ヒトラーの「わが闘争」には、社会的排除による「屈辱感が」語られている。それは、固有の名前をもたない人々を勇気付けてしまった。人間は、人間として尊重されなければ、どのような感情を持つのだろう。ヒトラーの屈辱感は、ドイツの下層階級から絶大な支持を受け、ゆがんだ平等主義へとひた走ったのである。

4.実践的含意

ハイエクの指摘したとおり、21世紀は、市場論理の厳しさと、それに伴う物質的不平等が顕在化していく。自殺者はなかなか減らないだろうし、貧富の格差もそんな簡単にはなくならないにちがいない。

―――このような状況下で、冷静に将来をにらんでみよう。物質世界のみの成長路線を突き進めば、待ってるのは何か。はっきりいえば、資源を求めた世界大戦ではなるまいか。われわれは、歴史からそれを知っているはずだ。

では、そうならないためにどうすべきか。われわれは、本書で謳われている福利の重要性を噛み締め、日本人が世界の人々と手をたずさえつつ、自分の人生に対する積極的な評価ができるような、そんな政策を考え提案する、この必要があるのではなかろうか。
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By AAA
経済産業省の現役官僚もこの書に意見を寄せているということで、単に世に問うタイプのモノではなく、ある一定でこういう旧来の経済指標では測れないモノを政策に盛り込む必要性が迫られているのかと感じる。

その中身は、福利という測る事が極めて難しいものを中心にオルタナティブヴィジョンを示し、それを専門家たちに実証的に、系譜学的に、形而上学的に、意見を出して貰い、それを俎上に載せ議論をするという構成で、最後まで読んでみてようやくそれぞれの意味が理解出来た。

この著書の特徴は、これまでの経済的な個人と経済成長いうもののみを前提とした自律した経済政策を自明視せず、それ以外の共同体や幸福・効用、社会に埋めこまれた経済政策という、一見経済産業省らしからぬ言葉が色々出てくるところである。なので、単純に経済学だけでないばかりか、イエの話や徳vertuの話など関連性を論じられないかむしろ経済成長にはマイナスになるかのように思われてきたものも多く、初めて触れる人には疲れる話も多い(私自身「養子」と「隠居」をめぐる話は非常に疲れた)。
だがそれらも、日本社会を新しい安定成長社会にするには欠かせないモノの1つであることは、第'V部を読めば理解されると思う。

具体的な政策に落とす段階は、官僚の技量に依るであろうが、少なくとも単純な意味での経済成長や小さな政府論というものでは解決できない、社会と経済、政治の連携を考える上で、それぞれの論壇は為になった。

また経済産業省の中でも読まれる事を想定していたからであろうが、参照先・引用先がそれぞれ細かく載っているので、自分でより深く学ぶのにも親切だと感じた。
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