本書は、副題にあるように、主として新人教師や教師を目指す学生を読者対象に、
本書で紹介されている様々な年代の様々な校種の英語教師の生の声を聞いて、
英語教師という仕事はどんな仕事なのかを知ることはもちろん、英語教師のやり
がいや、英語教師を通しての自己形成(キャリア形成)に対しても知ることができ
る本である。
本書の執筆者は全部で24名にわたり、現役の小中高大の教師はもちろん、これ
から教師を目指す学生や教員採用が決まっている学生、臨時教員なども含まれ
ていて、非常に幅広い方の経験や語りから、「英語教師」という仕事について考え
る材料を与えてくれているのが有難い。
本書の構成としては、4部構成になっていて、第1部では教師として必要な力で
ある、自分の頭で考える力が奪われているのではないか、という懸念が提示され、
考えることを学ぶ必要性とそのためのヒントが示唆されている。第2部では、小中高
それぞれの段階での現場教師の寄稿が集められ、第3部では、教師自身の成長に
ついて、新人、中堅、ベテラン様々な世代の教員からの寄稿が集められ、教師人生
の見通しが立てられるように工夫されている。そして第4部では、歴史的視点から
見た現在の英語教育や同僚性の重要性などに加え、ベテラン教師たちの声がまと
めらている。
本書は、その性質や目的からしても、前から順に読む必要は必ずしもなく、現役の
先生方であれば、ご自身の立場に近い方や興味がある話題について書かれてい
る方から(のみ)読むこともできる本になっている。
総じて言えば、本書は新人教師や教師を目指す学生だけに限らず、中堅、ベテラン
の方であっても、各人にとって違う読みができる本である。それに、本書を数年後
に読むとまた違った読みができるだろう。
英語教師の仕事を、現場の先生方の言葉を介して明らかにしようとする本書は、
多くの先生方に勇気を与え、様々な関係者に現場の様子を知ってもらう契機に
なる点においても、意義が大きい本である。