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成熟社会の経済学――長期不況をどう克服するか (岩波新書)
 
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成熟社会の経済学――長期不況をどう克服するか (岩波新書) [新書]

小野 善康
5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (14件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

需要が慢性的に不足して生産力が余り、それが失業を生み続ける現在の日本経済。これまでの経済政策はどこが問題なのか。新しい危機にはいかに対応すべきなのか。新古典派経済学の欺瞞をあばき、ケインズ経済学の限界を打破する、画期的な新しい経済学のススメ。閉塞状況を乗り越え、楽しく安全で豊かな国へと変貌するための処方箋。

内容(「BOOK」データベースより)

需要が慢性的に不足して生産力が余り、それが失業を生み続ける現在の日本経済。これまでの経済政策はどこが問題なのか。新しい危機にはいかに対応すべきなのか。新古典派経済学の欺瞞をあばき、ケインズ経済学の限界を打破する、画期的な新しい経済学のススメ。閉塞状況を乗り越え、楽しく安全で豊かな国へと変貌するための処方箋。

登録情報

  • 新書: 240ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2012/1/21)
  • ISBN-10: 4004313481
  • ISBN-13: 978-4004313489
  • 発売日: 2012/1/21
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.4 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (14件のカスタマーレビュー)
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7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
この著者の本を読むのは今回が初めてでした。
そのせいもあるかもしれませんが、個人的に、☆7個くらい付けても良いと思える傑作だと思えました。
経済学的に自然な流れで論が進んでいきますが、著者が与える示唆が非常に目新しく、説得力に溢れています。

最大のポイントは、「新古典派」「ケインズ派」の双方に懐疑的で、かといって「第三の道」でもなく、
「成熟社会における不況は構造的なものであり、国内の有効需要不足とデフレスパイラルを解消しない限り、解決しない」
というシンプルな持論をわかりやすく展開している点にあります。

筆者の主な主張を抜き出すと、以下のようになります。

●そもそも、発展途上の社会と、成熟した社会とは、消費・投資を含めた内需の積極度がまったく異なる。
●成熟した社会では、人々の物欲の伸び白は小さいので、内需の喚起が難しくなる。結果、構造不況になりやすい。
●構造不況化で、ケインズ的な景気政策(すなわち「バラまき」)を行うだけでは、内需は伸びない。乗数効果も薄い。
●構造不況化では、貨幣の「予備的動機」による保有が支配的になる。(筆者はこれを、物を買うアテもないのに金だけを溜め込む「守銭奴的拝金主義」と述べています)
●構造不況化では、人々は一定の生活水準の下でお金を溜め込んでいるので、一層生活の満足度を向上させるイノベーティブな分野が活性化することが望ましく、ここを雇用創出の基点とすべきである。
●消費税をはじめとした税は徴収部分にのみフォーカスが当たりやすいが、税財源を使ってイノベーティブな分野に重点的に再分配すれば、国全体として不況をマイルドにできる。
●逆に公的機関の歳出削減を行えば、その分、どこかで失業者が生み出されることになるので、歳出削減は国全体としてはあまり意味が無い。
●外需が増えても、経常黒字が続く限り円高圧力がかかるので、外需のみで国内不況を打破することはできない。

私は今まで、不況、円高、デフレ、失業、等々、現在の日本が抱える構造的な経済問題について、様々な書籍を読み漁ってきたつもりですが、本書のような主張を見るのは初めてで、
自分が各書籍を読む中で感じていた違和感(例えば、インフレターゲット論一辺倒の本に対する「本当に金融緩和だけでデフレ不況は解決するのか?もっと根は深いのではないか?」といった漠然とした物足りなさ)を埋めてくれるものでした。

経済学的には非常に簡単な理論やデータしか使わずに話が進むので、一般書としても抵抗無く読めると思われます。

この方の論調が100%、正しい訳ではないかもしれませんが、経済学には諸説ある中でどれが現実をより反映しているかを見比べることが肝要なので、日本の今後の経済政策を考える上で、大変参考になりました。
このレビューは参考になりましたか?
11 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
小野教授のモデルをもとに日本への処方箋を展開したもの。小野モデルは需給の一致がない状態が持続するモデルというところがミソは貨幣が最終的な効用(それを持つこと自体が効用をもたらす)をもつために過小需要の状態のまま均衡が実現すること。日本はまさにこの状態。供給力に比べて需要が少ないので税による収入で潜在的な需要を顕在化すれば需要が増え雇用状態も改善し税収も増加すると教授は説明する。
不安に思う点はこのようなモデルが本当に成り立つのかということだがこれについては小野教授の専門誌への論文が丁寧にリストアップされている。また春には専門書を出版する予定という。日本は需要が不足する状態が20年続いている。当時米国の経済学者は貨幣をばらまけば解決するといっていたが08年のリーマンショックでかような処方箋は無力であることが彼ら自身にもわかったようだ。といって均衡モデルを離れる説得力のあるモデルは提示されていない。カルボモデルなどは机上の産物だろうが他に使えるものがないのでこれに頼っているという状態だ。小野モデルはこれを打破するものとして大変魅力的。
現実の日本経済への処方箋としても有力なものと思う。TV等で自称経済学者が思いつきに基づき整合的なモデルを持たないままにいい加減なことを触れ歩くが、ようやく(といっては失礼で小野教授はかなり前から小野モデルを提示している)まともな議論が新書という読みやすい形で提示された。
いかんせん問題は小野モデルの本質の理解が難しいこと。巻末の論文リストに各論文の読みどころを付け加えていただければこの点の克服が容易になったと思われるのだが。
このレビューは参考になりましたか?
15 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
著者は、発展途上社会と成熟社会を区別する。
発展途上社会とは、人々の欲しい物やサービスは山のようにあるのに、生産力が不足して手に入れることのできない社会であり、成熟社会とは、生産力が十分あり物やサービスは満ち足りているのに人々の需要が不足するようになった社会である。著者は、日本は1980年代後半を境に成熟社会に移行したという。

成熟社会では、不況は新古典派経済学の考え方では克服することはできない。不況を克服するためには、政府が積極的に有用な需要を創出することが必要だというのが著者の主張である。その例として、介護、保育、観光、グリーン・エネルギーなどを挙げる。
そして新古典派はもとより、従来型のケインズ経済学もインフレ・ターゲット論も成熟社会では功を奏しないとして、その理由を解説する。為替に与える影響についても解説している。

他のレビュアーの方が仰っているように中身は不十分なのかもしれないが、本書の価値は全く新しい視点を打ち出したこと自体にあると思うので、星5つ。
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