著名な経営コンサルタントという肩書きからは、
ネオリベラリズム的な考え方の人だと勘違いしていましたが、
確かに自らはシカゴ学派的なロジックは好きだとして
派遣労働は肯定する一方、社会福祉を非常に重視しています。
従来とは一線を画したビジョンを提言しているかと思いました。
セーフティーネットがしっかりしていれば、失業もこわくないでしょという考え。
従来の企業が担っていた社会保障は、国がきちんとやれば良いと解釈しました。
日本は成長フェーズから成熟フェーズに移った、
要はこれ以上の経済成長は望めないのではという仮説を元に
これからの社会のあり方に対して提言しています。
人口の問題に言及しているところは藻谷氏の「デフレの正体」
と通じる部分があろうかと思います。
この仮説が間違いだとする反論もあるようですが、
かつての高度経済成長のような経済規模の拡大は、
なにか革新的なパラダイム転換でも起こらない限り困難ではないかと思います。
内需は医療福祉にシフト、食料や石油を輸入するための外貨を稼ぐための
輸出産業維持・育成は必要という方向性に共感を得ます。
なお本著では輸出産業に原子力を挙げていますが
3.11後には修正しているようです。
他、官僚機構やメディアの問題点など幅広く取り上げていますが、
非常にわかりやすくまとまっていると思います。
各論に関しては、もう少し細かい議論が必要な点や信憑性が怪しい
と思う部分もあり☆4つにしましたが、これからの日本を考える上では
非常に面白く役に立つ本だと思います。