本書で圧倒的なのは、その豊富な事例の引用です。
電話の発明から始まって、ノーベル賞級の発明物語まで、
国際的な発明、大企業から、ベンチャー、零細企業の発明まで。
とにかく、あるとあらゆる発明、発見など、時代を画した技術革新
や生産技術を、個人レベルから組織レベルまで、あらゆる段階で
引用しながら、偶然を幸福な必然となす秘密を明かしていきます。
初めて知ったのですが、ジェームズ・W・ヤングの『アイデアの作り方』
という書籍の存在で、ひらめきを導く、原理と方法を体系化したもの
があるのは大変興味深いです。
また、セレンディピティは、なにも自然科学だけに存在するのでは
なく、文学、小説の世界にもあることや、考えを固定化せず、動き回って
ひらめき体験の機会が豊富になるように、自ら、セレンディピティを
引き寄せる努力を怠らないようにすることも大切であることを学びました。
平易な文章と読みやすい体裁の中に、自分の頭の方向に影響する
ようなアイデア、逸話、考え方がいっぱいつまった秀作といえます。
考えやアイデアに行き詰っている状況で、ブレイクスルーのきっかけを
作るために読んで損しない一冊です。