落合正勝さんの本は、ブリオーニやタイユアタイなどの超一流ブランドをもとに、本物のクラシックとはなんたるかを語っている。
そこでは、経験を積むことで、本物を見る目が養われ、「目的に対する安定感」が備わっているものこそが本物だとして集約されている。
ただ、一般のサラリーマンにはブリオーニもタイユアタイもイザイアもそうそう手が出るものではなく、落合氏の提案をそのまま受け止めて買いものにいくということはまず難しいと思う。
宮崎氏の本書に関しては、その点で一般のサラリーマンの財布の身の丈にあった提案がなされている。
まず、スーツの着こなし、ファッションを語る場合、多くのスタイリストも言及しているのが、サイズ感の重要性だ。
見た目に関して言えば、サイズさえあっていれば、他人にはかっこよくみえるものであるが、多くの人はそれをわかっていない。
就職活動を始めた学生はスーツを着る経験が浅いため、リクルーティングにあたる社会人達は学生に対してスーツの着方や色についてあれこれ口を出すこともあるのだが、その社会人の大半はスーツの着方、本当の意味でのTPOに合わせた選択を正しく理解していない。
スーツの色や柄とシャツ、ネクタイの組み合わせに関しても同様で、押さえるべきはビジネスの場でのクラシックスタイル、フォーマル、ビジネス、カジュアルの違い、順序付けである。学生のネクタイの締め方や青いシャツを指摘する前に、自分の靴下の色やフルブローグの靴、とがった革靴を見直した方がいいよ、と言いたくなる場面もみたことがある。。
さて、松屋銀座のバイヤーであるということで、価格以上の価値がある良質な商品も本書では紹介されている。
実際、シャツに使われている糸の番手、スーツに使われている生地や構造については、名前だけの有名ブランド商品よりも数段上である。
ただ、それを読者に理解させるためにはもう少し「本物」のよさについて語ってもらってもよかったと思う。
冒頭に述べた落合正勝氏の書籍では、スーツやシャツの素材、構造、ディテールのグレードの高さについて事細かな解説があり、超一流メーカーがなぜ超一流なのかを説得するには十分な説明がある。
提案されている松屋銀座のオリジナル商品は、さすがに価格的にそのクオリティではないが、
コストの範囲内で譲れないポイント、妥協しうるぎりぎりのポイントがしっかりと考慮された商品だというのが私が店頭で現物を見た感想である。
そういった部分がもう少し語られていてもよかったと思う。
それができていないのは、スーツ、シャツの素材や構造ではなく、「サイズ感」や「色の組あわせ」といった、他人の客観的な視点による評価の格上げに論点を置いているからだと思う。「着心地」を支える素材・構造という要素については、追及していくと価格に転嫁されるものだが、いくらいいものを持っていても、体型にに合わないもの、TPOを理解しないで使っているとしたらかっこわるい。
だから、本書ではフォーカスを当ててているポイントが前者なのだ、ということがよくわかるし、
スーツスタイルを少しでも良くしたいと考える初心者に対して役立つガイドブックになっているのだと思う。
合わせてこちらも読むととてもスーツファッションに対する造詣が深まり、勉強になります。
着こなしのディテール 成功する人だけが知っている!いい買い物をするためにも必要不可欠な知識だと思います。