デザインのノウハウや、「こんな一言を入れて客の心をつかむ!」といったような本ではなく、デザイナーがどういう風に名刺をデザインしてきたか、という話やその名刺を作った時の状況などを振り返りつつその名刺が紹介してある本です。
合わせて「名刺で客の心を掴む!」といったような営業向け名刺本も読んだのですが、そちらが名刺に詰め込む情報量を増やして相手に読ませるのに比べて、こちらの名刺はすべてとてもシンプル。シンプルだけど、その人や店の雰囲気がよく伝わるという、押しつけがましくないのに印象に残る作品が多く「デザインとはこういうことか!」という気持ちになりました。デザインをする姿勢みたいなものをピっと正してくれるような本だと思います。
最近では、いろんな情報を詰め込んだ名刺や、やたらとデザインに凝って変わった素材や仕掛けのある名刺も多いですが、これくらいシンプルだけど印象に残る名刺のほうがカッコいいのでは?と思ったりしました。シンプルだけど印象に残せるものを作る方が、奇をてらうよりは断然難しくはあるのですが。
専門学校に通っていた時に2Dデザインの一番基本としてまず名刺を、ということではじめて名刺のデザインをした覚えがありますが、デザインの大御所さんの名刺デザインとなればそのデザイン姿勢の基本が見えてくるような気がしました。「デザインをするとはどういうことか」という根幹を見せてくれる本だと思ったので、名刺に限らずデザインを志す人にはいい本だと思います。